・ ゞ ページ42
あーもう、
声だけでわかるとか、どんだけ好きやねん…。
『ふふ、合ってて良かった』
「…ようわかりましたね」
『ふふ、凄い？』
「…おん(笑)」
『やった(笑)…はい、どーぞ』
「なん…っ、……冷た」
『ふふ、１位おめでとう』
「…あざっす」
左頬に冷たい感覚。
びっくりして勢いよく起き上がれば、クスクスと笑うA先輩の手には冷えたスポドリが２本。
その内の１本を差し出されて反射的に受け取った。
「あ、…後でお金、返します」
『ううん、いらない。これはお祝いだもん』
「でも…」
嬉しいけど、男としては好きな子に奢ってもらうんは…
『それより早く飲んで！熱中症になっちゃう！』
「…じゃあ、いただきます」
ってか、いつもの練習のがハードやから、これぐらいで熱中症にはならんけど…(笑)
真剣な顔して言うA先輩が無性に可愛いくて、言われた通りに貰ったスポドリをひと口飲む。
「…A先輩、見過ぎ」
『えっ…あっ、ごめん…！』
ジィっと見るA先輩の視線が恥ずかしくてそう言えば、バツが悪そうに目を伏せた。
「いや、ええねんけど…」
『…？』
「…見られたら恥ずい」
『……ふふっ』
俺の言葉に目をパチパチさせたA先輩が、へにゃりと笑う。
あーもうっ、
可愛いすぎるやろ…
「A先輩はもう午前は終わりっすか？」
『うん。後はね、ムカデ競争だけ(笑)』
「…なんか嬉しそうっすね？」
『ふふ、ムカデ競争は得意(笑)』
「…玉入れも頑張ってましたやん(笑)」
『もしかして…見てた？』
「バッチリ。めっちゃ頑張ってたから(笑)」
『うぅ……ダメダメやったでしょ？』
「あー…もしかして、A先輩って球技苦手なんすか？」
『球技って言うか…投げるのがダメ。前に飛ばない…(苦笑)』
へぇ〜…そうなんや。
確かに、運動は得意って感じじゃないけど…。
『だから、山田君がビューンって投げるの凄いって思う！』
「ビューンって…(笑)」
『…変？』
「くくっ…いや、可愛い」
『…え？』
「…ん？」
『いっ、今…可愛いって…』
溢れそうな大っきい目をパチクリさせて、真っ赤になったA先輩の顔。
ヤバい…
声に出てしもてた…
つられるように自分の顔が熱くなるのがわかる。
「えっと、…」
『……山田君もカッコ良かった、です』
「っ、」
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作者名：しめじ。 | 作成日時：2020年3月23日 23時
