21. ページ25
A視点
次に目が覚めた時にはもう、夜が更けて朝になっていた。
かなり寝てしまったものだ。
布団から少し動くがなんの異常もなく、完全に体は復帰していた。
寝ている彼を起こさないように、ゆっくりと布団から降りて医務室のドアを開ける。
彼が起きた様子はなかった。
-------------------
寝静まり、静かになった廊下を歩いていると廊下の角に人影が見えた。
なぜか、その人影は不気味な雰囲気がしており、とても怪しかった。
バレないように足音を立てないように歩き、後ろを尾行する。
少しだけ、話声が聞こえた。
「潜入して10日たったが異常はなし。奴らは気づいていない」
その声が聞こえ、瞬時に私は悟った。
あの声は、近距離部隊にいる一般兵の声であることを理解し、会話の内容に耳を傾ける。
「奴らは平和ボケしている。潜入も楽々だったぜ」
「あぁ、もう少ししたらこの国の最大秘密事項までたどり着けそうだ」
「ん？こっちにスパイの疑いが来ている？あぁ、その件については大丈夫だぜ」
『”「この国いる”無能”な幹部をスパイに仕立てあげるからな」”』
誰かの声が混じって聞こえた気がするから気のせいであろう。
しかし、そんなことよりも大変なことになる。
私がスパイの濡れ衣を着せられる？
そんなの勘弁してほしい。まだ彼らには返し来れていない恩が山ほどあるというのに…。
そんなことを考えていると声の主は遠くなり、
いつの間にかいなくなっていた。
走って自室に戻った。
息が落ち着かない。
これから自分がスパイの濡れ衣を着せられる？
嫌、そんなの嫌。
あぁ、怖い。どうすればいい？
私ができることは何？わからない。わからない。
無能な私には、何をどうしたら…。
いや、一旦落ち着こう。
彼が私をスパイに仕立て上げるといった。
つまり、スパイの証拠となるものをこの部屋、もしくは私に仕掛けるということ。
スパイの証拠となるものを逆にこちらが回収して突きつければスパイではないことが証明できる。
そんなこと出来るか？
いや、できるはずがない。
でも、やれることはやらなくれは。
一応、私が死んだときのために遺書も書いておくことにしよう。
常に最悪の事態を想定して動くことにしよう。
大丈夫。大丈夫。
不安な心を必死におさえて布団にもぐる。
今日は眠れそうにない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 595人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スムージー557 - あっ！そうなんですか？！最後まで楽しんで読みます！ (2020年5月14日 8時) (
レス) id: c58783f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもち(プロフ) - スムージー557さん» ありがとうございます！そう言っていただき、誠に嬉しいです。この作品は完結してるので、よければ最後まで見ていただけると嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年5月10日 23時) (レス) id: d18159012f (このIDを非表示/違反報告)
スムージー557 - 面白かったです！これくらいしか私には言えませんが、更新頑張ってください！ (2020年5月9日 20時) (レス) id: c58783f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもち(プロフ) - めぅみ。さん» ありがとうございます！私的にはご指摘は大歓迎なので、よければこれからもおかしな部分がありましたら、よろしくお願いします！ (2020年4月12日 15時) (レス) id: 974c74a7f8 (このIDを非表示/違反報告)
めぅみ。 - 良かった〜！こういうのは指摘したら怒ったりする作者さんってたまにいるんですよね〜…。やっぱりいい作品を書く人は心が優しいんですね！これからも陰ながら応援してますね！ (2020年4月12日 15時) (レス) id: ac2c3b7cbc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
