8. ページ11
A視点
城下町の方へ行くときの服装に着替え、私は城を出た。
城下町は昨日ほどではないが、
お祭りムードが抜けず、普段とまた違う賑わいをしていた。
『おじさん、こんにちは』
「あぁ、Aちゃんじゃないか。今日も美しいね」
『そうかしら。あ、昨日の売り上げはどうだったの？』
「そりゃぁ、大繁盛だったよ！いやぁ、お祭りの力っていうのは凄いねぇ…」
『あ、そうそう。ここら辺に出来るだけ安くて種類が沢山ある家具屋さんって知らないかしら？』
「うーん、あ！あそこはどうだい？」
おじさんが指さしたところにあったのは
小さな家具屋さんだった。
「Aちゃんのことだし、あまり大きい家具は買おうとは思っとらんのだろう？」
『えぇ、そうですね』
「そしたら、あそこがいいぞ。多分、Aちゃんの好みが沢山あると思うぞ」
『まぁ、それは嬉しい！ありがとうございます』
私は一礼をし、家具屋さんの方へと向かった。
家具屋さんはふるびたアンティークな内装をしており、
まさに私の好みな家具がそろっていた。
『…素敵、』
思わず声がもれてしまう。
幸せな溜息をつきながら家具を選び、
会計の時に定員さんにこそりと、
『お城のA・オルデュールの部屋まで運んでくださいな』
言い、お店を出た。
流石に家具を持った状態で城下町を出歩くことは難しい。
途中で疲れてしまう。
私は新しく出来たドーナツ屋さんにより、ドーナツを数個注文する。
近くで食べている水色と黄色の彼がいても、
話しかける勇気はなかった。
多分、あれは見回りをサボっているんだろうなと彼らを横目に見つめ、
広場の方へと移動した。
広場は噴水やベンチ、花畑などがあり、
小さい子供たちが鬼ごっこなどをしながらはしゃぎまわっている。
それを見ていると、もう少ししたら、
国の軍による地獄の鬼ごっこがあることを思い出した。
過去の私であれば夜も眠れないほど楽しみにしていたのだが、
あの日以降、鬼ごっこが苦痛でしかない。
嫌だなぁという感情をドーナツとともに胃に押し付けた。
空は雲一つない大空で、鳥が楽しそうに飛んでいた。
平和だな、ということを実感する。
最近は、前よりは宣戦布告の数も減って行き、
幹部たちは城下町の見回りに特化していた。
地獄の鬼ごっこも平和ボケで腕が劣っていないかということ
確認するために行われている。
ドーナツを全て食べ終わった後、まだ賑わっている人混みを見ていると、
そちらの方から黄色い歓声が聞こえて来た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 595人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
スムージー557 - あっ！そうなんですか？！最後まで楽しんで読みます！ (2020年5月14日 8時) (
レス) id: c58783f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもち(プロフ) - スムージー557さん» ありがとうございます！そう言っていただき、誠に嬉しいです。この作品は完結してるので、よければ最後まで見ていただけると嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2020年5月10日 23時) (レス) id: d18159012f (このIDを非表示/違反報告)
スムージー557 - 面白かったです！これくらいしか私には言えませんが、更新頑張ってください！ (2020年5月9日 20時) (レス) id: c58783f9b7 (このIDを非表示/違反報告)
いちごもち(プロフ) - めぅみ。さん» ありがとうございます！私的にはご指摘は大歓迎なので、よければこれからもおかしな部分がありましたら、よろしくお願いします！ (2020年4月12日 15時) (レス) id: 974c74a7f8 (このIDを非表示/違反報告)
めぅみ。 - 良かった〜！こういうのは指摘したら怒ったりする作者さんってたまにいるんですよね〜…。やっぱりいい作品を書く人は心が優しいんですね！これからも陰ながら応援してますね！ (2020年4月12日 15時) (レス) id: ac2c3b7cbc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
