『まってる』 ページ23
＊＊＊
沈黙の流れる部屋に、
大きな振り子時計の時を刻んでいく音が、嫌なくらいに聞こえてくる。
……嫌だな。
こんなに驚かれるなら、言わなきゃ良かった。
カリフ「……でも、Aが医者かー。」
貴「ち、違……ただ、医学に興味があって、勉強してみたいなって思って。」
カリフ「ふーん……」
ゴーン、ゴーン、ゴーン………
時計の針が、午後の三時を指した。
すると、カリフは立ち上がり、ベランダに向かって歩き出した。
窓が大きく開くと、外の風が入ってきて、少しだけ気持ち良かった。
カリフ「おれ、もう行くよ。そろそろ家庭教師のバ…っと、おばさんが戻ってくるかもしれないし。」
貴「…あ、うん！わかった。」
カリフがベランダに出て姿が消えたと思うと、それと同時にドアのノックが聞こえた。
そして、重い扉の開く音。
…危ない。
ギリギリセーフだった。
私は深呼吸をして気持ちを切り替え、ピアノの椅子に座り直した。
「失礼します。」
貴「……お願い致します。」
────────
────
カリフside
Aの部屋を出てすぐに、またピアノの音色が聞こえてきた。
自分の部屋に入って、静かに窓を閉める。
何だか疲れてしまい、壁に寄りかかるとその場にしゃがみ込んでしまった。
カリフ「……はぁ。」
……それにしても。
Aが医者になりたいということには驚いた。
このことを父上が知ったら……多分怒るだろうな。
この国の王権を、おれかAに継がせようとしているから。
医学会にも、一度も参加させてくれたことがない。
それはきっと、医学に興味を持たせないようにするためだからだろう。
…まあ、それ以前におれは難しい勉強はしたくないから、医学には興味なんて持つことはないけど。
"勉強してみたいなって思って。"
……いいなあ、あいつは。
おれと違ってやりたいものがある。
いや、やりたいものを見つけられた。
…それが出来るかは別として。
カリフ「……見つけたいなぁ、おれも。」
呟いた後、カンッ、と窓に何かが当たる音がした。
直ぐに窓を開けてベランダに出ると、そこには''いつもの''小さな袋が落ちていた。
中には小さな銀貨と一緒に、小さな紙切れが入っていた。
『まってる』
カリフ「…へへっ。汚ねえ字。」
紙切れに書いてあるその一言が嬉しくて、
思わず笑みがこぼれてしまった。
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桃千代(プロフ) - 三暁 那保さん» いえいえ！こちらこそ有難うございます！これからも頑張って下さい！！ (2016年10月12日 23時) (
レス) id: c288c3816e (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - 桃千代さん» ありがとうございます！ 近いうちに、こちらでも公開しますね。素敵なイラスト、本当にありがとうございました！ (2016年10月12日 21時) (レス) id: a75da1e993 (このIDを非表示/違反報告)
桃千代(プロフ) - 喜んで頂けて本当に嬉しいです！イラスト公開して大丈夫です。有り難うございます！！ (2016年10月12日 21時) (レス) id: 688e39c415 (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - イラスト、どうもありがとうございます！ すごい！ 早い！ そして綺麗です！ なんかカッコいいですね！ とても嬉しいです！ ありがとうございます！ こちらのイラスト、私の方でも公開したいのですが、よろしいでしょうか？ (2016年10月12日 21時) (レス) id: a75da1e993 (このIDを非表示/違反報告)
桃千代(プロフ) - angel~天使~さん» コメント有難うございます！そんな風に言って頂けるなんて、本当に嬉しいです。更新遅くて本当に申し訳ありません。これから頑張りますね！ (2016年10月8日 13時) (レス) id: c288c3816e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃千代 | 作成日時：2016年5月25日 1時
