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胡蝶しのぶによる尋問 ページ44

***


胡蝶は扉をしっかり閉めて、俺に座るように促す。
そして、「それで、」と尋問を始めた。

「どういう経緯で、彼女をここに?」

「屋敷が鬼に襲われたところを助けて、鬼を呼ぶ稀血であることを親御さんにお伝えしたところ、面倒をみられないから出ていけと」

「…なるほど…その様子だと、結婚も破談に?」

「ああ」

「うんうん、やはり最後は腹をくくられたわけですね」

「A殿は、鬼殺隊で働き口を探したいと言っていた」

ふむ、と考え込んだ胡蝶は、しばらくして「うちで預かりましょうか、」と言った。

「少なくとも、一般のお仕事に就かせるよりは安全ですし。
 いずれにしても、御館様にご報告しなければなりませんが」

特段の異義もなかったので頷く。

「それか、柱の屋敷付きでもいいんじゃないですか。
 冨岡さん、お声をかけてみたら?」

「…おちょくるのはやめてくれ」

「あら…結構本気だったんですけれど」

くすくす笑いながら、結構本気も何もなかろう。
俺がむっとしたのを察したのか、「あら、怒らせちゃいました?」などと小首をかしげる。

「尋問、終わったのなら早くA殿の診察をやったらどうだ」

「はいはい、わかりましたわかりました」

立ち上がって出ようとする背中に、胡蝶はもう一度言った。

「本当に、まるっきり冗談ではないですよ」

それには答えず、押し込まれた部屋を出ると、奥からけらけらと胡蝶カナエとA殿の笑い声が漏れ聞こえてくる。
女同士というのは、どうしてこうもすぐに打ち解けられるのか。

***


自宅に戻ると、慌てて飛び出した状態のまま、縁側が思い切り開け放たれている。
隠にあらかじめ伝えておけば、そのあたりのこともうまくやってくれるのだが、頓着がなさすぎるあまり隠や通いの家政婦を入れたことがない。
そもそも、自宅に他人を入れるということがごくまれだ。
本来的には、住み込みで弟子をとるなりすべき立場ではあるのだが。
宇随は俺や不死川に会うたびに、家で待っている誰かがいる暮らしのよさを説いてくるが、どうしてもわずらわしさが勝つ。
なお、実家住まいの煉獄がその話題に加わろうとすると、宇随があからさまに「お前はちょっと違うんだよ」と言うので、少し気の毒ではある。

「屋敷付きか」

ぽわん、と割烹着姿のA殿が浮かんできたりして、俺は頭のあたりを払った。


***

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瑞姫(プロフ) - 今吐露2でリアルに泣いております、、思わずよくわからない報告コメント申し訳ないですめちゃくちゃ好きですこの作品 (2020年6月24日 23時) (レス) id: 445b4986a2 (このIDを非表示/違反報告)
pink0223xxx(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です。素敵な言葉遣いや雰囲気が想像がしやすくてどんどん引き込まれていきました。泣いたり笑ったり楽しかったです。応援してます! (2020年6月3日 21時) (レス) id: 086d84223c (このIDを非表示/違反報告)
おんたま(プロフ) - はじめまして。更新お疲れさまです。完成度が高くすごく素敵な作品だと思います。無理のない範囲で更新頑張ってください。応援しています。 (2020年6月3日 2時) (レス) id: 8f0607afea (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - お返事できてないお三方、コメント返信できてなくてすみません、いつも更新遅くてすみません、読んでくれてありがとうございますloveです (2020年6月2日 19時) (レス) id: 100d291aa9 (このIDを非表示/違反報告)
madoka(プロフ) - 更新お疲れ様です!ずっと待ってました〜っ!!これからも頑張ってください。 (2020年5月24日 21時) (レス) id: f3e815359c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月19日 22時

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