稀血について -1 ページ13
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春はすぎ、夏になった。
蒸すような短い夜は、鬼も急いて雑になる。
鬼殺隊としてはこの季節でいかに鬼を減らしておくかが、きたる冬に向けての被害を最小限に抑えるためのキモである。
だからこそ、ということはわかっていつつも。
俺は、前を走る物騒な羽織の男をちらりと見た。
「不死川、」
「なんだァ!?まさかへばったってんじゃねェだろうなァ!?」
よりによってこの男と合同で救援に向かわされるとは、御館様もよくわからないお人だ。
「違う。雑談だ」
「余裕だなァ?水柱様よォ」
「お前確か、稀血だったと思うが、」
そこまで言ったところで、不死川はギロリとこちらをねめつけた。
それが何だってんだ?と目線だけで苛立ちを伝えてくる。
「稀血というのは、血族内で遺伝するものなのか?」
「あァ?」
まれち、という言葉に反射的にかみつこうとした彼はしかし、はたと考えるような顔をしたかと思うと、
「詳しくは知らねェが、兄弟間で同時に稀血が出ることは聞いたことがない。
親子間で同時に出ているのも俺は知らねェが、
一族のなかで繰り返し出ることがあるとは、聞いたことがあるな」
「一族……。やはり血統が関係するのか」
「胡蝶に聞いたほうが早ェんじゃねえかァ?」
「いや、胡蝶にはもう聞いた。
(鬼の研究に時間を割いているから、)稀血についてはほとんど調べていないそうだ」
「へェ、そりゃ稀血でないやつには関係ねェよな」
「……そういう意味ではないと思うぞ」
そうこう喋っているうちに、もうすぐ目的地である。
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瑞姫(プロフ) - 今吐露2でリアルに泣いております、、思わずよくわからない報告コメント申し訳ないですめちゃくちゃ好きですこの作品 (2020年6月24日 23時) (レス) id: 445b4986a2 (このIDを非表示/違反報告)
pink0223xxx(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です。素敵な言葉遣いや雰囲気が想像がしやすくてどんどん引き込まれていきました。泣いたり笑ったり楽しかったです。応援してます! (2020年6月3日 21時) (レス) id: 086d84223c (このIDを非表示/違反報告)
おんたま(プロフ) - はじめまして。更新お疲れさまです。完成度が高くすごく素敵な作品だと思います。無理のない範囲で更新頑張ってください。応援しています。 (2020年6月3日 2時) (レス) id: 8f0607afea (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - お返事できてないお三方、コメント返信できてなくてすみません、いつも更新遅くてすみません、読んでくれてありがとうございますloveです (2020年6月2日 19時) (レス) id: 100d291aa9 (このIDを非表示/違反報告)
madoka(プロフ) - 更新お疲れ様です!ずっと待ってました〜っ!!これからも頑張ってください。 (2020年5月24日 21時) (レス) id: f3e815359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月19日 22時