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6話 ページ6

***



圧し掛かってくる体重に堪えきれずずるずると床へ倒れ込む。
童磨と名乗る男は膝をつき、私にまたがる。
硬い床、重い体、さながら岩で全身を磨り潰されていくような。
……痛い……。
内臓ごと裏返されて、万力で振りかぶられ、地面に打ち付けられているような。
童磨が動くたびに、それが喉まで突き上げてくる。

「あれ、……あーあ、…血が。」

私の体、まるで泥を詰めたぼろ布の袋みたいだ。



***


―――ピリリリ

毎日7時半に設定しているアラームが、いつも通り鳴り響く。
眠れた気はしないが、壊れた体を軋ませながら起き上がる。
会社に行かなければ。

……体中が痛い。

童磨の姿はなかった。
支度をして家から出ようとして、ぞっとする。鍵がちゃんと閉まっている。
知らぬ間に、この部屋の合鍵、作られてしまった。
よほど体調が悪そうに見えたのか、経費申請を回してきた営業にまで、大丈夫?と聞かれてしまうしまつだ。
大丈夫ではない。
深く考えるのもばかばかしく、私はいつものように感覚を閉じて、ただやり過ごすように一日を終える。



***



「おかえり〜。」

『……なんで……。合鍵返してください……。』

帰宅すると、童磨がにこにこと奥の部屋で私を出迎えた。

「つれないなあ。乱暴にしたのがそんなに嫌だった?」

『……。違います。迷惑。人殺しを匿うつもりはな―――』

顔を掴まれ、『―――うっ、―――』私はドンと腰をついた。
爪が頬に食い込む。裂けるように痛む。

「はいはい、わかったわかった。
 本当にばかなんだな、君は。
 じゃあこうしよう、君は俺に脅されて、暴力の支配下にあって、抵抗もできずに止むを得ず俺を蔵匿した。
 こんなの説明してあげなくても理解してくれると思ったんだけどな。
 それでいい?それでいいなら、そういうことにするけど。」

そう言うと、童磨は私の顔をつかんでいた手を離すと、反対側の手で襟首をつかみ、大きく振りかぶった。
―――殴られる!

『まっ…待って!』

ぴた、とその腕が止まる。

『あなたもちょっと考えたら?
 私が怪我して出勤したら、誰かがおかしいって気づくよ。』

童磨はその腕をゆったりおろすと、それもそうだなあ、と言って、またにこにこと笑った。

じゃあ、これからもよろしくね。

そう言うと、振りかぶっていたほうの手で、それはそれは優しく私の頬を撫でた。
爪を立てられていたところが、じくじくと痛む。

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ゆん - 性癖ドストライクで死にました← (2021年8月21日 13時) (レス) id: f3622d769a (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - つるかめさん» 恐縮です!ありがとうございます!こんな趣味全開の書き物楽しんでもらえたなら嬉しいです。お星様連打してくれる人一番好き (2020年4月26日 18時) (レス) id: f96b77b227 (このIDを非表示/違反報告)
つるかめ(プロフ) - こんなに一番右のお星さま連打したのは初めてです…。言葉選びといい世界観といいめちゃくちゃ好きでした!完結おめでとうございます!素敵な小説をありがとうございました!! (2020年4月26日 18時) (レス) id: 21a20e72bc (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - まほろさん» これが性癖のど真ん中…!この変態さんめ!コメントありがとうございます、頑張って書きます!! (2020年4月25日 15時) (レス) id: f96b77b227 (このIDを非表示/違反報告)
まほろ(プロフ) - 性癖のど真ん中を貫かれました。感情を持てあましすぎて読みながら踊り狂ってます (2020年4月25日 3時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月15日 1時

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