［完］黒死牟邸に居候してます (ページ20)

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相対的に ② ページ20

「どっちでもいいけど、食べなよ。
目上の者に出されてるんだよ?」

私は目と口をガッチリ閉じたまま、歯を食いしばった。
にこにこ鬼は、仕方ないなあ、と言って、

『！？』

両手で私の顔を掴むと、力任せに口を開けた。
顎が外れて骨の折れる音が耳の底の方から聞こえた。

『えーーーーーっ！！！ングゥゥ！！！』

そしてその口に先ほどの脚をぐいぐいと入れてくる。
鬼になって初めてだ、こんなしうちを受けたのは。ちょん切れた人の脚を口に押し込まれるなんて、人生で初めてのことである。
絶対にひとかけらたりとも飲み込みたくない私は、……私は、最終手段に出ることにした。

『んんんんんんんんん！！！
んんんんんんんんん！！！
(鬼舞辻無惨は10日に一度しか風呂に入らないから髪の毛が脂ぎっているし臭う！！！)』

その瞬間、ーーーべべんっ、と音がして、私は口に人の脚をブチ込まれたまま、転移先で口上を述べる間もなく、あのお方にボコボコにされた。
見事な折檻に、おかげで顎の骨が砕けたのも相対的に薄まった気がする。相対的にね。
口にブチ込まれていた人の脚は、ボコられている途中で口から飛び出し、迷路屋敷の暗闇に吸い込まれていった。

「貴様……！
鬼は風呂になど入らない！」

『エッッッ
入ってないんじゃん！！！』

＊＊＊

「全く、こんな雑草小鬼に取り乱されてしまうとは。
忌々しい。
……貴様、少々血を舐めていつものように透明化すればよかっただろう。」

『イヤですよ！
一体化ですよ！？相手は選びます！！！』

「まあ確かに童磨は嫌だよな。」

『もう二度と会いたくないよお～！！！ビエーン！！！』

「汚い泣き顔だな……。」