［完］黒死牟邸に居候してます (ページ10)

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夜の散歩 ③ 泣いてます？ページ10

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普段、黒死牟さんと一体化する時は、黒死牟さんが完全にあきらめてじっとしているため、私は私の体のやりたいようにやらせていただいているが、さすがに猗窩座さんは暴れた。
ばたばたされるとうまく一体化できず、癒着しては剥がれ癒着しては剥がれを繰り返すため、次第に苦痛を伴うようになる。
そうなっては困るので(痛いのは嫌いなのでね)、私はちょっと力を込めて、抱きすくめるように猗窩座さんを抱え込んだ。
透明になりつつあるからだが、ぷわんと膨らんで、猗窩座さんをぐるりとくるんだ。

猗窩座さんが動きを止めた一瞬を縫い、膚を膚をぴったり合わせてぬるりと侵入する。
やはり、月に1度繰り返している黒死牟さん相手とは、なじみ方が違うが、これもまた悪くない、と思う。
悪くないどころか、けっこういい。
なんというか、弱い電流がずっと流れているような体内だな。
猗窩座さんが、わけのわからない感覚に身もだえているのが伝わってきて、びりびりする。
そんなに？ってくらい、猗窩座さんは荒い呼吸を繰り返している。
あまり長い間潜っていると死なせてしまうかもしれないので、私はちょうどよいころ合いで、ずるん、と猗窩座さんの体から出た。

はあっ、と猗窩座さんは重たい息を吐く。
両手をついて、へたり込んでしまっている。
仕方あるまい、別にあなたが特別弱いわけじゃないよ、黒死牟さんだって、たまはそうなることもあるし……。
私は、慰めるように言ってみた。

「……。」

『……えっ、まさか泣いてます？』

顔を覗き込んだら、鼻っ柱に思い切り拳を叩き込まれた。
まあへろへろのくたくたなので、大して痛くはなかった。

『ひどい……。
私わかりましたよ。
猗窩座さん、あなた童て』

もう一回叩き込まれて、さすがに私は昏倒した。