［完］黒死牟邸に居候してます (ページ34)

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縄ページ34

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小腹満たしに散歩をしていたら、木の根元に眠っている女の子を見つけた。
こんな夜更けに転がっているものだから、一瞬死体かと思ったけれど、近づいてみたらちゃんと息もある。
すぐにでも食べてしまおうと思ったけれど、余りにも気持ちよさそうに眠っているものだから、少し興味が湧いてしまい、私は試しに夢に入ってみようと思った。

ーーーん？

縄を結べど、夢に入れない。

『んガッ、』

そうこうしているうちに、女の子が目を覚ました。

『……は？』

そして女の子は、目の前に屈む私の顔をきょとんと見つめ、それからゆっくりと視線を下ろし、自分と私の手首が縄で繋がれていることを確認するや、

『ギャーーーッ！！！変質者！！！』

と叫んだ。

「……えっ、君は鬼か。驚いた。」

『こっちのセリフですよ！？
なんで寝てる人と自分の手を繋いでるんですか！？
よく気持ち悪いって言われませんか！？』

「言われないけど……。」

『それは友達いないからでは？
知り合いとかいる？最後にだれかと喋ったのいつ？』

「……。」

ほろり、あまりの言われように涙がこぼれた。

『いや下弦の鬼が泣くな。あと早くほどいてくださいよ。』

私はめそめそと縄をほどく。
なんて口の悪い女の子なんだろう。いじめ殺したい。

『なんで縄なんて結んでたんですか。』

「これは私の血鬼術で、手首を繋いだ相手の夢に入り込めるんですよ。」

『ふーん血鬼術まで陰湿で変態的なんですね。下弦の他の鬼にも嫌われてそう。』

「本当にひどい。」

絶対に殺す。そう思った瞬間、女の子がいきなり刮目し、はっ、と私の顔を見つめた。
殺気が漏れたかな？

『ーーーもしかしてこの縄、縄単体でも効力ある？』

「ええまあ、多少は。私の血と髪の毛で編んでありますから。」

『うわキッショ！でもこれもらって帰っていい？』

「構いませんよ。」

『わーいありがとう。痴漢行為は許してあげるね！バイ！』

女の子はそう言うと、パタパタと走って消えた。
妙な気配の鬼だったな。

＊＊＊

やった、これで黒死牟さんの夢に入ってひみつをあばくぞ。
私は黒死牟さんの居室でいそいそとその縄をふところから取り出し、自分の手首に結ぶ。
しかしはたと気づいた。

『……いやいや！！！よく考えたら黒死牟さん寝ないじゃん！！！』

「……雑草、なにか、汚いものを、持って帰っていないか？
不潔な……臭いがするのだが……。」

『変な鬼に変なものもらった！！！捨ててくる！！！』