8話 ページ8
体がねじれる痛みに、意識が飛びそうになったときだった。
突然、灼けるような匂いとともに、視界がひらけて投げ出された。その体を誰かが受け止める。
『うぅっ……!』
目の前で、先ほどまで老人だったものが頸を失い、ぱらぱらと崩れていく。
私は悲鳴をあげた。
「ーーーもう大丈夫だ!」
錯乱する私を、見知った羽織の腕が強く抱いた。落ち着け、と繰り返し言う声に、私はようやく助かったのだと理解した。
「鬼の気配がして出てきてみれば、よもや、よもやだ!」
『杏寿郎、さん、』
「A殿!怪我はないか!」
私は、色々なものが混ざりに混ざり、何から表現すれば端的にいまの気持ちを伝えられるのか、分からずぼろぼろと泣き出してしまう。
杏寿郎さんは、またギュウと腕に力を込めた。
「すまなかった、一人にしてしまったせいで、恐ろしい思いをさせてしまった。」
視界の端に、月あかりにぼやっと、落ちて崩れた豆腐が見えた。
鬼の姿は跡形もなく、煙のように消えた。
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やも - 冨岡夢の作品を読んでこちらも拝見させてもらいました。やっぱり文章が綺麗に洗練されていてとても好きです!素敵な作品ありがとうございました。 (2020年5月7日 14時) (レス) id: be623916d5 (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - Rさんさん» コメントありがとうございます〜!変な文章どころかありがたい文章です…今のところ続きは書いてなうのですが、書くことがあればこの小説にリンクでも貼ろうかなと思ってます! (2020年4月15日 21時) (レス) id: 218c4f48c9 (このIDを非表示/違反報告)
Rさん - 完結おめでとうございます!コメントするの初めてなのですが変な文章になってないでしょうか?とても感動しました!続きなどあれば是非教えて下さい!素敵な時間ありがとうございました (2020年4月15日 14時) (レス) id: f96fb724ca (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - 炎さん» 一気読みできるテンポを狙って書いていたので、コメントうれしいです、励みになります!読んでいただいてありがとうございました! (2020年3月30日 15時) (レス) id: f96b77b227 (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - ss好きの923chanさん» ありがとうございますー!読んでいただけて嬉しいです。また思いつけば短編でも書こうかなとは思ってます! (2020年3月30日 15時) (レス) id: f96b77b227 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年3月27日 23時