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「ある植物―――、花についての手がかりを探している。少しでも関わりのありそうな書物は全て差し出せ」
もう一度頷く。
「探しているのは、青い彼岸花だ」
青い彼岸花。
現実味のない響きに、私の頭の中には美しい、見たこともない景色が浮かんだ。ゆるやかな坂を上り、日当たりの良い里山のはずれに、陽の光を浴びる青い彼岸花の群生。そんな景色が浮かんで消える。
男は、まるで忌々しげに眉根を寄せる。
そんなものを探すために、商家を襲って回っているのか。いったい、何のために。
「……何だ」
私の怪訝な表情でも読み取ったのか、男は問うた。首を振って、害意も、口答えもないことを示す。男はフン、と鼻を鳴らして私に目録を投げて寄越すと、片付けが終わり次第、それに取り掛かれ、そう命じて座敷のほうへ踵を返した。
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せいた(プロフ) - とても面白かったです!話せるようになった主人公が開き直る感じがすきですw続きが気になるますが完結どの事で残念ですが、お疲れ様でした! (2022年10月22日 2時) (レス) @page40 id: 4527c8b3f3 (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - みおさん» 嬉しいです〜読んでくださりありがとうございます!いつも終わりどころって迷いますよね… (2022年8月28日 0時) (レス) id: 02e548a085 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - お、終わりなんですか…?!この作品ほんとに大好きです!!まだ終わる予定は無いのでしたら(?)主様なりのペースで更新頑張ってください!!応援してます!! (2022年8月28日 0時) (レス) @page39 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イトカワ | 作成日時:2022年8月18日 2時