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鬼舞辻無惨は、あの日からしばらくは夜の間を留守にするようになった。
私の生活は昼夜逆転から戻り、明るいうちは蔵で書物を読み下し目録をつけ、時折訪ねてくる客だの卸だの行商だのの相手をし、日が沈むと戸を固く閉めて眠る。だがどんなに深く眠っていても、夜明け前、鬼舞辻無惨が部屋を訪れると目が覚めた。
彼はいつも血の匂いを纏って、私の部屋を訪れる。その姿は大概が、乾いた血で汚れている。そして傍に立って、横たわる私を見下ろした。
血を啜られることもあれば、特に何を求められるでもなくじっと眺められるだけの日もある。朝日も入らぬ狭い部屋で、うっすら光る赤い瞳に射られながら、横たわったままみじろぎもできない私は、その目でいったい何を測られているのだろうと考える。
私に本当に価値があるのか、あとどのくらい使い道があるのかを測られているのだろうか、と考える。
ーーーこの屋敷のどの書物にも、私が求めているものは存在しない。ーーー
この男がそう結論づけた瞬間、私を生かしている意味はなくなる。
それだけが恐ろしかった。何も言わずに、見下ろされると、その値踏みの視線が恐ろしかった。
せめて他の何かを求められたほうがよかった。それが血でも、肌を合わせることでもなんでもいい。だから私はいつも、血を求められなかった夜明けの日には、彼の足元に腕を伸ばして、唇を薄く開いて、みずから彼を誘った。
せめて何か差し出して、受け取ってもらえないと不安で仕方がない私の焦りに、彼が気づいていたかは知らないか、鬼舞辻無惨が私の浅はかな誘惑を断ることはなかった。
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せいた(プロフ) - とても面白かったです！話せるようになった主人公が開き直る感じがすきですw続きが気になるますが完結どの事で残念ですが、お疲れ様でした！ (2022年10月22日 2時) (
レス) @page40 id: 4527c8b3f3 (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - みおさん» 嬉しいです〜読んでくださりありがとうございます！いつも終わりどころって迷いますよね… (2022年8月28日 0時) (レス) id: 02e548a085 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - お、終わりなんですか…？！この作品ほんとに大好きです！！まだ終わる予定は無いのでしたら(？)主様なりのペースで更新頑張ってください！！応援してます！！ (2022年8月28日 0時) (レス) @page39 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イトカワ | 作成日時：2022年8月18日 2時
