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「滝郎の奴、なんか様子がおかしかったな」
見回りを終えたところで、隊の年寄りがぽつりと言った。
「え？感冒だって言ってたし、だからじゃ…」
「いや、そもそも隣町の同業が襲われたってェのに、あいつ、ほんの僅かも動揺してなかった」
それに、と年寄りは続ける。若い衆らが、年寄りのほうに目線を遣った。
「例の隣町の問屋の様子、覚えてるだろ」番屋の隊列は、いつのまにか歩みを止めている。
「屋敷中、ひっくり返したような荒れようだったのに。人っこひとり、いやしねえ」
死んだ人間のひとかけらたりとも、見つかっていないのだ。その上、その夜に騒ぎを耳にしたものも、いない。
「怪異のしわざでなかったら、なんだと思う？おめえ」
若いのの一人が、実は、と口を開いた。番屋衆が道の真ん中で立ち止まっているのを、通りゆく人々が不安げに眺めている。
「あの、さっきの滝之助さんちの書物問屋、俺の知り合いの連れが通いで用心棒やってたんだけど、ぱったり行方知れずになっちまって…。
いまのテツ爺のあれ聞いてたら、もしかしてって」
ほかの者も少しずつ、中てられたようにじゅんぐりに、その口を開いた。
「…そもそも…よく考えるとおかしいよな、今まで店に出てたわけでもねえ滝郎が、突然留守を任されるなんざ。…それに、口のきけない下女だけ外に立たせておくなんて…他にもいるだろう、丁稚でもなんでも」
テツ爺と呼ばれた年寄りは、若者たちの方を向いて軽く頷いた。
「俺らじゃあ、なんもわからん。俺は、物の怪に詳しいお社の先代を訪ねてくらあ。いいか、お前らは、滝郎から目を離すなよ。…あの口のきけない女からもだ」
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せいた(プロフ) - とても面白かったです！話せるようになった主人公が開き直る感じがすきですw続きが気になるますが完結どの事で残念ですが、お疲れ様でした！ (2022年10月22日 2時) (
レス) @page40 id: 4527c8b3f3 (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - みおさん» 嬉しいです〜読んでくださりありがとうございます！いつも終わりどころって迷いますよね… (2022年8月28日 0時) (レス) id: 02e548a085 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - お、終わりなんですか…？！この作品ほんとに大好きです！！まだ終わる予定は無いのでしたら(？)主様なりのペースで更新頑張ってください！！応援してます！！ (2022年8月28日 0時) (レス) @page39 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イトカワ | 作成日時：2022年8月18日 2時
