白が滲む【呪術廻戦】 (ページ8)

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変な噂ページ8

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「てかさ、そもそもなんで夏油のこと好きだったの？」

暫く今日から来る一年生の宿儺くんについて話してたのに、いつの間にか乙骨君の話にシフトしていた

かと思ったらいきなりえぐい話題をぶっ込んできた硝子さんのせいでコーヒーが気管に入ってきた

『ごほっ、ゴホゴホ…なんすか急に。コーヒーで溺れかけたんですけど』

「いや単に気になってさ」

『じゃ、じゃあ例えば…五条さんか夏油さんどっちか選べって言ったら？』

「うーん、その辺のゴキブリとかかな」

「またはドブネズミとかっすかね」

『おい』

選択肢無視すんな

会話のキャッチボールできないんか

てか変な奴いたぞ

『てか、なんで真希ちゃんがいんの』

「奇遇だね、真希」

横を見たら、真希ちゃんが私の隣で脚を組んで優雅にコーヒーを啜っていた

禪院真希、呪術高専一年…あ、もう二年生になったのか

「何の話っすか」

「五条と夏油だったらゴキブリのがましだよねって話」

『いや違う違う、私が悪かったわこの話なしで』

「じゃあなんで好きだったのさ」

「え？誰を？」

どうせまた話が変わると思ったのに、なぜか今回の話題は簡単に引かない硝子さん

真希ちゃんまで心底不思議そうにこっちを見ている

「Aが夏油のこと好…」

『わあああああ、何でもない何でもない』

硝子さんを遮ろうと両手を振って言葉をかぶせると思ったより大声だったらしく、人が多くなってきた事務室中に響き渡った

一瞬時がとまったようにみんなの視線が集まる

「朝から煩い」

「はよー七海ぃ」

開口一番私にうるさいといいながらデスクに向かう七海と気にも留めない硝子さん

今日から遠出で任務らしい真希ちゃんはもう行きますねと言って立ち上がった

『もう…昔の話ですよ…』

ほとんど独り言のようにつぶやいたのに硝子さんが返事する

「ほんとに？もう未練もなーんにもないの？」

『…うーん』

どうだろうね、少なくともあの頃の感情とは全く違うものになったはず

今はただ後悔って言うかなんて言うか…

また静かになった事務室で向こう側のデスクにいる七海の声がした

「まだ夏油さんのこと好きなんですか？」

『おい七海、お前…』

「あーあ、またAが半呪詛師って噂になっちゃうわ」

『だから…笑えない冗談やめてくださいって』

静かな硝子さんの笑い声だけが、今度こそ空気の凍り付いた事務室に響いていた