ぬるま湯 ページ3
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『あー死ぬかと思った』
「…」
『何その顔』
「あなたやっぱり資料読んでないですよね?」
高専に帰ると、事務室の入り口で七海と鉢合わせた
七海の方はとっくの前に終わって、事務仕事をしていたらしい
『まあまあ、結果オーライってことで』
「そんなに消耗してる山門を見るのは久しぶりですね」
『そーか?』
「呪力切れとは無縁かと」
からかってるのか真面目に聞いてるのか良く分かんないトーンで七海がそういった
『…別にそんなことないでしょ。てかてか、これ拾ったんだけど』
さっき倒した呪霊から拾った呪力の籠った指をみせると、彼は眉間にしわを寄せてため息をついた
またぶつぶつ文句を言いながら早く渡せと言わんばかりに掌を突き出す七海
「報告書案件」
『え?もしかして七海がやってくれるってこと?』
「からかってないでさっさと休んだらどうです?家入さんなら処置室ですけど」
『わあ、やっさしー七海、神じゃん』
硝子さんには連絡してあるーと言って七海に指を放り投げるとボフッと事務室のソファに身を委ねる
時刻はもう20時を過ぎていて、事務室には数人の補助監督と七海だけ
とっくに任務終わってるのにここで残業してた七海はきっと私の帰りを待っていてくれたんだと思う
なんだかんだ心配してくれてるし、、、
『七海はぁ…昔から優し、い…ね、、』
重くなった瞼を閉じて重力に身を任せれば、遠のく意識の傍ら七海がふっと笑ったような気がした
「おつかれ、山門」
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作者名:ビタミンとっき | 作成日時:2023年10月5日 2時