高専時代 〜灰原ってやつ〜 ページ11
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『今日カラオケ行かない??』
「いーね!行きたい!」
最近ずっと部屋でゲームばっかりだったし、と思ってそう提案する
任務があるからバイトもしなくていいし、高専生はなんだかんだ放課後暇なのだ
任務と言っても大変なやつはだいたい2、3年に回るしね
「大事なことを忘れてる」
「「へ?」」
灰原と私でどこのカラオケに行くか盛り上げっていると、七海が口を出す
「中間テスト」
『え゛っ』
「え〜勉強すんの?七海」
「私 ‟は”別にしなくても大丈夫だけど?」
教室の机に腰かけて腕を組んだままそういう七海
そうだった…
七海は相変わらず成績優秀だし、灰原だってなんだかんだ平均以上にできるタイプだ
そこでようやく七海に昨日数学教えてもらう約束をしていたのを思い出す
『…そうでした』
「じゃあ皆で勉強会かぁ〜お菓子パーティーでもする?」
急にテンションが下がった私を元気づけようと灰原がそう言ってくれる
「そうやって灰原が山門を甘やかすから」
「とかいって七海も乗り気なくせに」
3人でやいやい言いながらコンビニまで歩く
コンビニまでの距離がほんとにえげつなくていつも泣きそうになるけれど
まず高専の敷地を出るのに歩いて15分はかかる
「そーいやどうなったの?Aの電撃告白」
『げげ、それ今聞いちゃう??』
「どうせどうもこうもないでしょう」
右の七海は興味なさげに、左の灰原は少し顔を覗き込んでそういってくる
私が夏油さんに間違えて間違えたあの日からちょうど2週間
たまに偶然会ってしまった以外、ちゃんと話せてはいない…
「僕3日前くらいに夏油さんと話したんだけど」
『え?仲いいの?』
「まあ最近は会うとちょっと話すよ」
「昨日、五条さんと夏油さん灰原の部屋に居なかった?」
『ええ?!コミュ力お化けかよ』
七海が訝しげに灰原にそう聞けば、まあいたけど…なんて歯切れの悪い灰原
初めて会って2週間の先輩たち部屋に呼べるタイプなのか…
なんて自分との違いに絶望していると、七海も同じ顔で灰原を見つめていた
「いたっていうか、勝手に来て勝手に帰ったっていうか…」
『それを居たと呼ぶのでは?』
「井上〇香の写真集押し付けられた…」
『「…」』
何とも言えない気持ちになった私と七海は黙って前を向く
『ち、ちなみにそれは夏油さんの趣味…?』
「いや、五条さんでしょ」
『あ、ですよね〜』
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作者名:ビタミンとっき | 作成日時:2023年10月5日 2時