【76】最後の準備室 ページ26
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実習が終わって、お疲れ会みたいなことをしてもらった時、大野先生が「日曜日に美術室おいで」と言ったので、翌々日の日曜日に高校の美術室を訪ねた。
「先生きたよ」
「いらっしゃい」
確かに日曜だけど、そんなにゆるい格好で怒られないの？と聞いたら「もうそろそろ辞めるから」と言われた。
「辞めちゃうんだ」
「俺が辞めても相葉ちゃんに感傷なんてないでしょ」
「いやあ、意外とあると思う」
美術室の奥にある準備室のドアに目をやると、「ああそうだね」と大野先生は笑った。
「興味あったんだよね、相葉ちゃんのこと」
「なんで？」
「ゆっこがよく話してたし」
コーヒー飲む？と聞かれて頷くと、先生が準備室に向かったからなんとなくついて行く。
「女の子から名前で呼ばれるのが嫌だ、とか」
はいどうぞ、と渡されたカップを受け取る。
信じられないくらい濃いコーヒーに苦い顔をすると、先生は声を立てずに笑った。
「付き合っていた彼女をキスできないからって振った、とか」
ゆっこ先輩と何度もキスをした準備室で、ゆっこ先輩が好きだった人からそう言われて。
「それに、ゆっこが珍しく長くなついてたから」
大野先生がゆっこ先輩のことを話すその姿を見て、本当になんでゆっこ先輩のことを振っちゃったんだろうと不思議だった。
「相葉ちゃんは何で先生になろうと思ったの？」
話に脈略はなかったけれど、大野先生の話すペースは心地よくて、ゆっこ先輩が好きだったのはこういう所なのかなあって思う。
かいつまんで理由を話していたら、「そのこが相葉ちゃんの好きな人？」と聞かれ少し恥ずかしくなったけど、ゆっこ先輩はきっと、そういう話も先生にしてたんだろうなとあきらめて頷く。
「そっかそっか」
「先生はなんで辞めちゃうの？」
「まあね、もう30になったし、そろそろちゃんと絵、描こうかなって思って」
ちょうど欠員が出て、流れでここで教師やってたからさ。
そんな事をちょっとだけ聞いて。
「相葉ちゃん、何か絵持ってく？」
「いいの？」
「ゆっこ描いたやつとかどう？」
「いらないよ！」
先生が見せてくれたその絵は、制服を着たゆっこ先輩が絵を描いている姿だった。
鉛筆だけで描かれた先輩は、すごく楽しそうに笑っていた。
「元気でね」
「大野先生もね」
こうやって話が出来てよかった。
ゆっこ先輩と重ねたあの日の自分が、少し報われたみたいだった。
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りりい(プロフ) - トリコさん» いやいや、書いてる私が泣きそうですから(考えすぎ)。ハッピー雅紀ね、書きたいですよね！書かないと終われないですよね！(ハッピーな話書けない傾向にあるけど）待ってて、「サイテー」の続きをね・・・今書いてるから(もやもや)。 (2017年2月16日 21時) (
レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トリコ(プロフ) - いやいやいや、私が泣きそう｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡りりぃちゃん（ドキドキ)くっついた後のハッピー雅紀をそらぁもうがっつり描いてもらわにゃ！と。思ってまふ。w (2017年2月15日 22時) (レス) id: b44e167a91 (このIDを非表示/違反報告)
りりい(プロフ) - トリコさん» 終わらせないからー！まーさーきー！や、ありがとうございますほんとに。実は私もすごく叫びたい。まさきー！！ (2017年2月13日 22時) (レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トリコ(プロフ) - 終わらないからー！雅紀！もう怒濤の更新に楽しみすぎて毎回叫んでる。いつも書き込んですいませんでも叫びたいのですー！｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2017年2月13日 20時) (レス) id: 000aaf7ccb (このIDを非表示/違反報告)
りりい(プロフ) - トリコさん» 裏側楽しんでいただけて嬉しい！読み直してもらえるのも嬉しい！がんばります、あと10年分くらい・・・！ (2017年2月10日 19時) (レス) id: e73758d9c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりい
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=lily1022
作成日時：2017年2月1日 20時
