第1話 偶然力 ページ1
｢はぁ〜、朝から疲れたわぁ｣
美しく輝く金色の髪をふわりと風に靡かせながら、眩しくも暖かい太陽の光を遮るように、自分の顔の上に手をかざし、そう呟く。
その光景は神々しいもので、容姿端麗な彼女はそんな仕草一つで男を魅了する。
特徴的な金髪に、中学生とは思えないたわわに実った胸。
クモの巣柄のレースグローブと、同じくクモの巣柄のレースオーバーニーソックスを身につけ、胸元にはあの名門校｢常盤台｣のマークが入った制服。
近くを通りかかる者は、たちまち歩みを止めて彼女に見入ってしまう。
ある者は女王、ある者は化け物と呼ぶその少女の名は
ーーー『食蜂操祈』。
この日の彼女は朝に起きた出来事のおかげで、少し不機嫌だった。
｢だってぇ、御坂さんったら抱擁力が無いじゃなぁい？｣
｢だっ、誰の何が無いってぇ？！｣
いつもの如く張り合う二人。食蜂操祈と口喧嘩をするのは常盤台の超電磁砲こと『御坂美琴』。
二人の仲が悪いのはいつも通りのことなのだが、最近は特に二人の喧嘩が多くなってきている。
それは何故か。『彼』が関係しているからだ。
｢そんなんじゃ、上条さんの満足力がぁ足りないと思うのよねぇ？｣
｢な、なんでそこでアイツの名前が出てくるのよ？！｣
｢何でかしらねぇ〜｣
はぁ、面倒ねぇ。ここはわたしの心理掌握で突破力を見せつけてぇ、早めにこの場を離れようかしらぁ。
｢ちょ、待ちなさい！食蜂操祈！まだ話は終わってないでしょ！｣
ピッ。
立ち去ろうとする食蜂操祈を追い掛けたい御坂だが、食蜂操祈の能力によって操られた派閥のメンバーが行く手を阻む。
｢ちょっと！食蜂操祈ーー！！覚えてなさいよーー！！｣
ーーーーー朝からそんなやり取りがあって、少しだけ気疲れしてしまった食蜂操祈。
そこへ、
｢はぁ〜、財布を落として家の鍵まで失くすなんて...不幸だぁ！｣
そう涙ながらに訴えるのは、特徴的なツンツン頭をした少年『上条当麻』だ。とにかく不幸な体質の持ち主とだけ言ったおこう。
｢...っ！｣
そんな彼を見つけた彼女は、嬉しさに気持ちが舞い上がる。
上条当麻の前での食蜂操祈は、一途に恋する乙女なのだ。
だが、嬉しい気持ちと同じくらい切なさも感じている。
それは、ある事件がキッカケで『上条当麻』は『食蜂操祈』のことを物理的に記憶出来なくなってしまったから。何度話しても記憶してもらえず、忘れられてしまう。それでも彼女は
｢...偶然力ってすごいものよねぇ｣
ー諦めない。
続く (更新停止中)
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作者名：なっちー | 作成日時：2020年4月15日 22時
