【d!】私のために、生きろ。2 (ページ33)

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敵の罠ページ33

ゆっくりと目を開ける。
手足は動かない。背中には壁。
壁に貼り付けられてる…手首足首で固定され、武器も握れないように指先まで丁寧に。
完全に対策されてる。

それにここは…地下牢？
血の匂い…数十人、いや下手したら数百人

『誰かいないの？』

そう声を出すと、1人の人物が姿を現した。
見たことある顔…たしか

『…ルドルフ外交官』

ル｢おや、覚えていてくださったのですね。光栄です。｣

あたしは知りたいことを口に出した。

『ろぼろ…天の声、は…』

ル｢天の声？｣

ルドルフは少し考えたのち、｢あぁ、｣と続けた。

ル｢見事に逃げられましたね。ですがそれもどうでもいい。｣

『どういうこと？天の声と我々国の情報こそがスタンシアラの望みでしょ』

片眼鏡の奥で目が細められ、にやりと笑う相手。
今すぐ掻っ切ってやりたい。

ル｢いえ、私たちの狙いは初めから貴方1人です｣

『…は？』

ル｢A様のお写真を国王陛下へお見せしたところ、妻にしたいと仰られまして…しかしまさかこんな簡単に釣れるとは思いませんでした。我が国と反対側の集落で騒ぎを起こすことにより、のこのこと来て下さるとは。｣

してやられたってことね
それでもいい、ロボロが捕まってないなら。

その時、ガチャリとどこかの扉が開き、足音が聞こえる。

ル｢国王陛下、貴方の妻が意識を取り戻されました。｣

？｢ご苦労｣

高そうな青い貴族の服を着た、茶髪ロングの若い男。
男はあたしに近寄り、頬に手を添えた。

『触んな』

？｢気が強いところも私好みだ。実際に見ると更にお美しい｣

うっとりとあたしを見るその目に虫唾が走る。

マ｢はじめまして、A殿。私はスタンシアラを治めるマサールと申します。是非あなたを私の妻に迎え、王妃の座についていただきたい。｣

『OKすると思ってんの？』

マ｢思っていたら、貴方を拘束などしておりません。ドレイの服などではなく、綺麗な高級ドレスを着せていたところです。｣

マサールはまたあたしに顔を近付けた。

マ｢さぁ、お聞かせください。答えを。｣

『口が臭い』

マ｢…なかなか良いお返事ですね。ルドルフ、屈するまで痛みつけてさしあげろ。｣

ル｢仰せのままに｣

そこから想像絶する拷問が、長期に渡り行われた。