【d!】私のために、生きろ。2 (ページ4)

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救世主ページ4

主人公side

やばい。
ゾムがおかしくなった！！

さっきまで告白の言葉にドキドキしていたのに、今は至近距離で囁くゾムの瞳が怖い。なんだかあたしの好きなペリドットじゃない。
闇だ。

どうしようか、と悩んでいた所に、ノックの音が聞こえた。

救世主！？誰！？

『どうz…むぐっ』

どうぞ、と声をあげようとしたところで、ゾムの手で口を塞がれた。

zm「させへんで。」

小声で言ってにやりと笑うゾム。
相手の方が上手だった。

tn「…A？おらへんの？」

トントンだ。

tn「おかしいな…なんか声が聞こえたような気がしたんやけど……」

ゾムを見る。
さっきと比べて表情は無い。どうやら彼も緊張感はあるようだ。

tn「…すまん、A！入るで！」

ガチャリとドアが開けられた。
あたしとゾムのその様子を見て、声を上げる。

tn「なにしとんねん、ゾム！」

トントンはあたしの上のゾムを力ずくで退かした。

zm「ﾁｯ…邪魔された。」

tn「邪魔ってお前…！大丈夫か？何もされてへん？A」

トントンが差し出してくれた手を掴み、起き上がった。
平常心を装う。

『うん、大丈夫だよ。』

tn「何があったん？」

『あー、あのね…ゾムが躓いて、その先にあたしがいたの。それだけ！』

tn「…そうか。ゾム、お前も大丈夫か？」

ゾムは不機嫌そうにトントンを見た。
多分だけど、トントンはあたしの嘘を見抜いてる。

zm「なんも。ただ、」

tn「ただ？」

zm「俺は諦めへん。おやすみ、A。」

バタン、とゾムが部屋から出ていった。
トントンがため息をつく。

tn「悪いやつやないんや。わかるやろ？」

全てを知っているのであろうトントンの言葉に、首を縦に振った。

そうだ、ゾムは
ただあたしのことを好きでいてくれるだけ。

『あたしはもっと色々勉強しなきゃ。』

tn「なんの？」

『…恋とか愛とか？あと男の人について、とかかな？』

tn「…そうやな、もう少し知る必要があるな。Aの場合は。」

トントンはあたしの頭を優しく撫でた。
すごく落ち着く。

『そろそろ寝るよ。』

tn「あぁ、目を通して欲しい書類があったから持ってきたんやった。机に置いとくで。」

なるほど、その用事でここへ来たんだ。
書類に救われたね、あたし。

tn「ゆっくり寝るんやで、おやすみ。」

『おやすみ、トントン。』

あたしは部屋を出るトントンを見送ってベッドに入った。

…次の日から、ゾムの猛アタックが始まるとは知らずに。