戦争寸前 ページ24
オスマンside
応接室からAが出るのを見送り、1口紅茶を飲む。
慣れない言葉使ってよう頑張ってくれたわ。
この男、Aにのぼせやがって。
未だに部屋のドアを見つめる男に一言、声をかける。
os｢出会い頭にうちの幹部を引き抜こうとは、些か非常識では？｣
男は向かい側のソファに座り直す。
ル｢申し訳ございません。あまりにも素敵な方でしたので。…ですがああ言われてしまっては、こちらに打つ手もないですね。｣
笑いながら謝る男。
本当に反省しとるんか？
os｢偶然会えて、運が良かったですね。まぁでも、もう二度と会うこともないでしょうから。｣
ル｢…と、言いますと？｣
os｢うちの総統は彼女を非常に気に入っておられる。貴国へ足を踏み入れることすらも、絶対にない。｣
目を細めてにこりと笑えば、男はたじろいだ。
更に続ける。
os｢あぁ、でも…ひとつだけ会う可能性があるとすれば…｣
ワントーン、自分の声が低くなるのがわかった。
os｢戦場で、ですかね？｣
目を見開いて焦る相手。言いすぎたやろか？
ル｢冗談がお上手ですね、オスマン殿。我々は同盟を結んでおります故、そのようなことは決してありえませぬ。｣
os｢…それならよろしいのですが。｣
慌てるように帰る男を見送り、俺は総統室へ足を運んだ。
〜総統室〜
入ると、頬杖をつきながら書類を眺めるグルッペン。その隣にトントン。
グルッペンの所まで行き、バン！と机を叩いた。
tn｢…なんやねん、いきなり。｣
gr｢あー、報告なら後にしてくれ。今忙しい。｣
しかしグルッペンはそう言った後、俺の顔を見て書類を置いた。
gr｢…珍しく憤慨した様子やな。｣
os｢スタンシアラの外交官…ルドルフとかいったか。あの野郎、Aの手を握り、近付き、あろうことか俺の目の前でAのことをスカウトしやがったんや。｣
gr｢なんやと？｣
眉間に皺を寄せて静かに怒りを見せるグルッペン。
トントンまでもがムッとしている。
gr｢スタンシアラ、北か。｣
tn｢変な気、起こさんでくださいよ。｣
os｢いや、トントン…そろそろ領土を広げてもええんちゃうか？｣
グルッペンと共ににやりと笑った。
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作者名：雪白ましろ | 作成日時：2024年2月9日 17時
