縮まる距離 ページ17
主人公side
タバコの香り。…でもショッピのとは違う。
手にはワイシャツの感触。
ゆっくりと目を開けると、目の前には男の人の胸板が。
恐る恐る顔を上げれば、大先生の寝顔があった。
『んえ！？』
あたしは飛び起きる。
その声で大先生も起きたみたいだ。
ここは、あたしの部屋…
外はもう暗くなり始めてる。いつから寝てたんだっけ？っていうか、大先生と一緒に？
ut｢おはよう、A。｣
欠伸をしながら言う大先生の言葉に違和感を覚えながら、おはようと返した。
ut｢その感じやと、戻ったみたいやな。ま、良かったと言うべきか残念と言うべきか…｣
『そ、その…！』
ut｢ん？｣
眼鏡をかけ、あたしを見る大先生。
あたしは顔が真っ赤になってる、絶対。
『ま、ままさか…あたし、たち…一線を超えて…？？』
焦るあたしに大先生が意地悪く笑った。
ut｢…そうやったらどうする？｣
ピシャーン！
雷にうたれたような衝撃。
そんな、まさか、嘘でしょ！？
ut｢ごめんごめん、嘘だからそんな顔せんといて！ちゃんと服着とるやろ？｣
あたしは咄嗟に声を上げた！
『〜〜ッ！鬱のバカ！！』
その言葉に彼は目を丸くした。
『あ、あれ…？鬱…？』
あたしそんな風に呼んでたっけ？
戸惑って相手の顔を見ると、ふわりと微笑んだ。
ut｢うん、そうだよ。鬱でええんよ。｣
覚えてないけど、この人との距離が縮まった、そんな気がする。
ut｢それにしても、Aのお陰でよう寝れたわ。一服したいからお暇します〜。｣
鬱は背伸びした後、手をヒラヒラ振りながら部屋を出ていった。
何が何だかわからないが…
『嬉しそうな顔してたなぁ、鬱。』
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
その後、幹部たちから話を聞いた。
どうやらあたしは相当恥ずかしい行動をしていたみたいて、穴があったら入りたい気分だった。
そしてラブリースティックはというと、｢世界一危険な武器｣としてグルッぺンとトントンによってどこかへ永遠に封印されたらしい。
『ふふ、自分の才能が怖いよ…』
tn｢何を言うとるんや。隙を見せたお前も反省せぇ。｣
『はい、すみませんでした。』
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作者名：雪白ましろ | 作成日時：2024年2月9日 17時
