【d!】私のために、生きろ。2 (ページ16)

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自力で手に入れたいページ16

鬱side

Aちゃんの部屋に到着。
僕がここに入るのは初めてだ。

ut｢お邪魔します…？｣

にこりと微笑むAちゃん。
部屋を見渡す。女の子らしい部屋や。
ラボは結構散らかってるけど、この部屋は片付いてるなぁ。

『大先生、こっち！』

ut｢え？｣

Aちゃんは僕の手を取ってベッドの前まで移動すると、そこに押し倒した。
…Aちゃんに押し倒されとる、僕。

ut｢ちょ、Aちゃん！？何を…｣

僕に馬乗りになるAちゃん。僕は上半身を起こし、向き合った。

『…前から思ってたんだけど、大先生に呼び捨てで呼んで欲しいな。だめかな？』

前から？それっていつからのこと？魅了される前？

ut｢A｣

それを聞いて嬉しそうに笑うAを抱き締めた。

『大先生？』

ut｢ほんなら今だけ…今だけでもええ。俺の事、鬱って呼んでくれへんか。｣

至近距離で目を見合せる。
いつもと違う一人称とその言葉に、疑問を持ったようだった。
しかしすぐ首を縦に振る。

『鬱、…えへへなんか照れるね。』

熱を持った彼女の頬に手を添える。
キスされると思ったのか、目を閉じるA。

顔を近づける。どちらかが少しでも動けば唇が触れる距離まで近付いて、止まった。

俺は唇ではなく、口の端にキスをした。

『鬱…？』

ut｢ごめん。こんなんでAを手に入れてもしゃーない…ちゃんと俺が、自分の力で自分のものにしたい。｣

首を傾げるAに苦笑いして、話を逸らすことにした。

ut｢それで？なんでベッドに押し倒したりしたん？｣

まさかさっき言ってたキスよりも先のことをしたい、とかじゃ…？
しかし今の彼女は魅了状態だ。ありえる。

『一緒にお昼寝しようと思って！』

ut｢昼寝？｣

『最近あんまり眠れてないでしょ？』

Aは僕の目の下を指でなぞる。
あぁ、また隈ができとったんやな。

『倒れたら大変だよ？しっかり寝なきゃ。』

微笑んで、僕の上から退くと横に寝転んだ。
なんというか、ほんまに頭が上がらんわ。

眼鏡を外し一緒に寝転んで、Aの方を向く。

ut｢ありがとA。おやすみ。｣

『鬱、大好きだよ。安心しておやすみ。』

Aの甘い香りに包まれた中で、ゆっくり目を閉じた。