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 五条単独の任務が舞い込んでくる。それは今日から3日ほどの期間を要するような、割と重たいものだった。今日は金曜日で、今すぐ任務に出向いたとしても日曜日の夜まではかかってしまう。難易度は高めであり、いくら最強と謳われる彼でも苦戦する内容だった。
 任務に今から行こうと支度をする五条に近づいたAは、眉を下げてほんの少し言いづらそうに言葉を紡ぐ。


「五条君、今から数日間任務なんだよね。日曜日は厳しそうだしやめておく?」
「……は?俺様は最強五条様だせ。こんなクソみたいな任務に時間かかるかっての」
「でも……」
「だあーーっ、うるせえな!Aはただ俺との飯を楽しみに待っておけばいいんだよ!!」


 すらりと伸びた五条の人差し指が、Aの額をつんと強く突く。“うわっ!”と情けない声をあげてよろけたAの横を通り過ぎて行った五条は、がっちりとした大きな背中を彼女に向けた。その途端に香る五条の香水は、清涼感のあるクールなもので、なんだかAはどきどきと心臓を高鳴らせてしまう。
 Aは自身の額を数回撫でた後に、息を詰まらせながら大きく口を開いた。



「っ……任務、頑張ってね!ご飯楽しみにしてるから!絶対日曜日のお昼には戻ってきて!!」


 Aに背を向けている五条はその言葉が耳に入った瞬間、つい立ち止まってしまう。振り返れば、ほんの少し必死な顔をしたAが自分を見て声をあげている様子を見ることができる。見たい。どうしてもこの目に焼き付けたい。欲望のまま、彼女が潰れてしまうくらいに抱きしめたい。ぎゅうっと、強く強く。そんな感情が五条の脳裏を掠めては、何とか理性を働かせて消していく。結局振り返らずに、再びその歩を進めた。

 言いたいことはたくさんあった。しかしそのキャパを超えてしまった五条は何も口にすることはなく、ひらひらと手を振るのみ。



(クソッ、意地でも帰らねーといけねーじゃん)


 心の中でAに対して舌打ちをするも、その五条の頬は完全に緩み切っていた。

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叶華(プロフ) - 更新ありがとうございます。とてもとても嬉しいです。これからも応援しております (2023年4月29日 2時) (レス) @page28 id: 2f3b00e51a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年7月5日 14時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
しぐれ - 面白いですね!!! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 165d0fbcd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぐー | 作成日時:2021年5月18日 1時

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