ページ ページ28
「僕は母方のお祖母ちゃんから、淡白でもいい、わくましく育ってくれればと、よく言われていたものだよ」
「わくましくってなんだ」
入れ替わってる入れ替わってる。
オーソドックスをオードソックスっていうみたいな感じ。
「そんなことより」
相川真冬が、元吸血鬼、肌の白い黒髪の少年改め彼方空流から、伊東歌詞太郎に、視線を戻した。
「僕を助けてくださるって、聞いたのですけれど」
「助ける? そりゃ無理だ」
歌詞さんは茶化すような、いつもの口調で言った。
「きみが勝手に一人で助かるだけだよ、お坊っちゃん」
「…………」
おお。
相川の目が半分くらいに細くなった。
あからさまにいぶかしんでいる。
「僕に向かって__同じような台詞を吐いた人が、今まで五人いる。その全員が、詐欺師だった。あなたもその部類なの? 伊東さん」
「はっはー、お坊っちゃん、随分と元気いいねえ。何かいいことでもあったのかい?」
だからなんでお前もそんな挑発するような言い方をするんだ。それが効果的な相手も、たとえば天宮のように、いるのだろうけど、しかし相川に限っては、それはない。
挑発には先制攻撃を以て返すタイプだ。
「ま、まあまあ」
やむなく、私が仲裁に入った。
二人の間に、強引に割り込むようにして。
「余計な真似を。殺すよ」
「…………」
今、この人、ごく普通に殺すって言った。
何故私に火の粉が飛ぶかな。
焼夷弾みたいな男だ。
全く、形容するに暇がない。
「ま、何にせよ」
歌詞さんは対照的に、気楽そうに言った。
「話してくれないと、話は先に進まないかな。僕は読心の類はどうも苦手でね。それ以上に対話ってのが好きなんだ、根がお喋りなもんでね。とはいえ秘密は厳守するから、平気平気」
「…………」
「あ、ああ。まず、私が簡単に説明すると____」
「いいよ、阿良々木さん」
相川が、またも、大枠を語ろうとした私を、遮った。
「自分で、するから」
「相川____」
「自分で、できるから」
そう言った。
34人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がむしろ(プロフ) - コメント失礼します!とても面白く、原作の化物語の通りに書かれていて、読んでいてとても楽しかったです! (2022年4月13日 23時) (レス) @page1 id: b2402acd1c (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - ヒマリンさん» ヒマリンさんコメントありがとうございます!わざわざこの作品を見つけてくださり、そう言ってもらえて恐悦至極です!これからも原作通りに進められるよう頑張ります!! (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリン - 本当に化物語の通りでした。 すごいです。 (2021年1月7日 10時) (レス) id: 88fe224ab8 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - うたねこさん» うたねこさん初めまして、感想ありがとうございます!どちらも好きな方がいらっしゃるとは…!? 緩やかですが楽しみにしていただけているのなら光栄です(*'∀`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: 06fe930ba8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねこ(プロフ) - はじめまして!物語シリーズもまふさんも好きなのでめっちゃ嬉しいです。お話もこれからすごく楽しみです! (2020年3月22日 17時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:灰猫 | 作成日時:2020年3月20日 4時