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「そういえば、ミスターコンの話聞いた?」
「あ、それ。本当どういうつもり?」
「いや、A以外やとほら、色々面倒になりそうやん?」
その言葉に、私は何も返せなかった。
気付け、鈍感
なんて、言えるわけもなくて。
「神宮寺も話に乗っかってくるし、最悪」
私がそういうと、紫耀は、ごめんなあ?と謝って来る。
ううん、実は少し嬉しい。
ただ少し、寂しい。
そんな言葉を飲み込んで、別に、とだけ呟いた私は、やっぱり可愛くない、好きになれない自分。
「えーなになに?おばさんそれ超見たいんやけど!!」
1人ノリノリなおばさんに、紫耀も私も苦笑い。
「いや、マジで見なくてええから」
「本当に」
「えー、見に行こー。仕事休みにせな!!」
おばさんはそう言って、ルンルンで空になった自分のマグカップを持って台所へ向かう。
2人になった紫耀と私は、なんだか沈黙になる。
「その服…」
先に沈黙を破ったのは、紫耀の方で。
私はすぐに横を見て立ち上がり、どう?なんてポーズを取って戯けてみる。
すると、紫耀は優しく笑って、
「かわいい」
といった。
その言葉に、なんだか急に恥ずかしくなってしまって、私は、ありがとう、の一言も言えず思わず黙り込む。
紫耀は何ともないように、紅茶に一口、口を付ける。
私だけ、焦って、テンパって、バカみたい。
そう思っていると、何だかこの場にいることが居たたまれなくて。
「おばさん、そろそろ私、帰るね」
そう言って小走りで、まとめていた荷物を持ち、慌てて玄関へ向かう。
「また来てね〜」
というおばさんの声に振り返ると、
「送ってくわ」
と、立ち上がる紫耀。
「え、いいよ、うちなんてすぐそこだし」
と、慌てて拒否をすると、
「女の子なら素直に送られなさい」
と、微笑む紫耀のお母さん。
紫耀は、ちょっと待ってて、と、上の階へ登って行く。
私が呆気にとられていると、紫耀のお母さんが笑いながら、
「本当に紫耀は、Aちゃんのことが大好きやねんなー」
と、私にいう。
紫耀は、ずるい。
「紫耀は、誰にでも優しいですよ」
私がそう言うと、おばさんは目を丸くさせたあと、
「罪な男やね」
と笑った。そうしているうちに、紫耀が上から降りて来て、お待たせ、とヘラっと笑う。
「じゃあ、お邪魔しました。またよろしくお願いします」
と私が頭を下げると、おばさんは、気をつけてね、と手を振った。
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あきんちょ - めちゃめちゃ良かったです!ぜひぜひ2nd season かいてほしいです! (2019年5月7日 23時) (レス) id: 5f9a7e6066 (このIDを非表示/違反報告)
タロウ - ののさん» コメントありがとうございます!わたしの処女作品から!嬉しいです!拙い文章ではありますが、楽しんでもらえれば幸いです!!作者登録はあまりするつもりはありません…フリーダムにやっていきたいなあ、なんて思っていて…これからもよろしくお願いします。 (2017年11月14日 19時) (レス) id: 9be0b69fd5 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 「世界はそれを愛とよぶ」から拝見しています。タロウさんの作品に出会い、久しぶりに頻繁に占ツクにアクセスするようになりました!差し出がましい申出かとは存じますが、タロウさんは作者登録はなさらないのですか?これからも続き、楽しみにしています! (2017年11月14日 8時) (レス) id: dbdd18e851 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロウ | 作成日時:2017年11月12日 22時