How to love me?【赤緑】

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「まず、あいつのことどのくらい知っとる？」

「名前」

「そんだけ？」

「好きな体位、あいつが一番感じるところ」

「そういうのはエエねん。アイツの年齢とかは？」

「知らん」



答えるとヒナはマジかアイツ……て呟いた。

どういう意味やねん、それ。



「アイツ、20歳。大学生やねん」

「えっ、若っ」



流石にびっくりした。
もう社会人かと思ってた。

大学生であの色気って色々アカンやん。
もっと大人なったら最高やな。
想像するだけで何回か出来そうやんけ。



「で、教育実習始まるから辞めるって。教師でこのバイトしてたらちょっと……な」

「えっ、アイツ教師志望なん？」


ヒナから聞く『大倉』は初めて知る情報ばかりやった。

俺って何もアイツのこと知らんかったんやなって。
そう思うと自分がちょっと惨めやと思った。


「ヒナは、大倉と連絡取ってんの」

「まあ。……そんな顔しても無駄やで。連絡とりたいんやったら自分でしいや」

「無理やって」

「ほな知らんわ。指名せえへんのやったらもう帰りいや」



ほらほら、愛の巣戻れ！って嫌味言われる。
知ってるくせに。

ヒナに追い出されるがまま、店を出た。
店を出ると頬に冷たい水滴が当たる。

ポツポツと雨が降り出してきた。
このまま強くなりそうやったけど、傘を借りずに歩きだす。

今夜は戻らへんと思ってたわが家へ。

予想通り雨は強くなっていく。
寒い。濡れたくない。
でも雨宿りもせず、傘もささず歩くのはきっと馬鹿な期待をしてるから。



あの時俺がずぶ濡れの大倉を見つけたように、今度は大倉が俺を見つけて傘に入れてくれる。


いい歳こいたオジサンが何ドラマティックな展開想像してんねん。



雨に打たれてると不意に泣きそうになって。
えぇ、俺って大倉思って泣けるんや。キショ、なんて思った。

結局大倉が登場するはずもなく、ずぶ濡れになって帰宅しただけ。



「ただいま」




俺の声に返す人はおらへん。
そのまま熱いシャワー浴びると、ここでも涙が出そうになった。

年とったからって涙腺弱くなりすぎやろ。
自分で喝入れるけど、ホンマにもう大倉と会えへんと思ったら泣いてまうのも仕方ない気がした。



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