How to love me?【赤緑】

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何となく暗い話が終わると、信ちゃんはさっきの話なんてなかったみたいに接してくれた。

二人でテレビ見て笑って。
お酒飲んでるからいつもよりハイになってて。

久しぶりに何も考えんと、笑えたなーなんて。
そんなこと言ったらまた心配されて問い詰められそうやから言わんけど。



「そろそろ飲むんやめんと。明日講義あるんやろ？」

「うん、10時から」

「やばいやん」

「二日酔いで出席する」

「最悪や。･･･風呂入って寝よか」

「ん。俺は店でシャワー浴びたからエエや。信ちゃん、どうぞ」



湯船ないんはホンマ申し訳ないんやけど。
さすがにこの時間から一人のために湯船張る程の経済的余裕はない。

信ちゃんが風呂場に行くと、リビングには俺１人だけになってもうた。
さっきまでフワフワしてて気持ち良かったのに、急に酔いが冷めた感じ。


いつの間にか、止んでいた雨が降り出していた。
家の壁や屋根に雨が当たる音が、やけに大きく聞こえて少し怖くなる。


そういえば雨の日の夜は最近ずっと、誰かの腕に抱かれてたな。
俺を抱く腕は毎回違う人やったけど。

そっか、だから怖いんや。
雨の日の夜に一人でいることがなかったから。



「……片付けよ」



テーブルに散乱した空の缶ビールを両手に抱えて、台所のゴミ袋に捨てた。
風呂場に近い台所に行くと、小さくシャワーの音や信ちゃんの鼻歌が聞こえる。

さっきの怖さが少しだけ薄らいだ気がした。


「上がったでー」

「はーい」


何故か報告してくる信ちゃんのもとにパタパタと走ってく。

二人、鏡の前に並んで歯磨き。
ホテルのアメニティを取っといて良かった。

洗面所にシャカシャカという音が響く。
たまに鏡越しに目が合って、ちょっと照れる。
･･･…こういうことすんのが、恋人なんかなあ、なんて思ったり。

隣がすばる君やったら。
想像するだけで幸せやん。
この世には、すばる君の横で歯磨きできる人が存在すんねやって思ったら羨まし過ぎる。

俺が女で、もっと早く出会ってたら、何か変わってた？
今俺の隣にいる人がすばる君やったり、？



「たつ、何でまたそんな顔に戻ってんねん」



既に歯磨きを終えた信ちゃんが眉間にしわ寄せた。

俺はぼんやりと鏡に映る自分を眺めてみる。
そんなに、心配されるような表情ちゃうと思うけどなあ。

俺も歯磨きを終えて、一緒に寝室に向かう。



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