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「明日には元通りにしとくから」
チーフのその言葉通りに、翌日出勤すると誰も俺を無視しなくなっていた。
おはよう、って挨拶する俺にちゃんとおはようって返ってくる。
「章大チーフとのこと誤解やったってチーフから聞いてん……ホンマ、幼稚なことしてもうてごめん」
眉をハの字にして子犬みたいな目を濡らした更に捨てられた子犬のようになっている亮ちゃんから、そう申し訳なさそうに見つめられて叱責出来る人がいるなら紹介してほしい。
それよりも、気になったことが。
「亮ちゃん、今何て……」
「え、だからごめんって」
「ちゃう、その前……チーフのこと名前で、」
いつの間に名前で呼ぶような仲になったん。
亮ちゃんは、あぁ、と溢して左右対称の綺麗な笑顔を見せた。
それはそこら辺のアイドルを凌ぐほど輝いてて、幸せオーラが溢れてた。
その笑顔になぜか。
ぽたり。
自分の心に1滴の黒い雫が落ちた。
「昨日チーフが名前で呼んでエエで、って言ってくれたん」
落ちた雫はゆっくりとそのシミを広げていく。
じわり、と灰色の何かが心を覆っていくその感覚が、俺は何かホンマは知っている。
認めたくない、感情。
「昨日……？」
「そう、昨日、チーフが電話かけてくれたんよ。内容は仕事関係やったんやけど……最後に言ってくれた」
亮ちゃんのその言葉がトドメやったのか、落ちた雫から広がった灰色の靄は心の隅まで、その色で塗りつぶした。
昨日、亮ちゃんとチーフが電話をした。
それだけの事実で何でこんなにも心が灰色になるんか。
そんなの、中学生だって分かる。
でも認めたくない。認められるわけない。
だって……何で？いつから？
いつから俺はチーフを……？
「大倉の担当、丸山さんに戻ったって」
「え……」
「やって章大チーフと組んでたんって日本酒の広告が終わるまでやろ？」
「あ、うん……」
やめて。
亮ちゃん、名前でチーフを呼ばんといて。
もう俺は“丸山さん”の名前ではときめかへんねん。
……だって。１番辛かった時に側にいてくれたのは、紛れもないあの人なんやもん。
あの人が俺を追い込んだのに、あの人だけ俺の側にいてくれた。
『もうエエわ』
昨日の突き放したような言葉にぎゅっと胸が締め付けられた。
チーフ、恋敵が１人減りましたよ。
なんて心の中で話しかけてみて泣きそうになる。
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れいんと。(プロフ) - つらきさん» コメントありがとうございます！更新速度が遅くて申し訳ない…。んー、どうでしょ。その辺りにも触れていきたいと思っています笑 (2021年10月3日 9時) (
レス) id: e2762dc7c7 (このIDを非表示/違反報告)
つらき(プロフ) - 大量更新ありがとうございます〜！！これからの展開が楽しみです。青さんが何を考えてるのか全然わからない笑 橙さんは少し緑のことが好きだったのかな、だから出勤してきたのかな、と考えを巡らせてます。更新頑張ってください！ (2021年9月27日 11時) (レス) id: 5dae2b6d43 (このIDを非表示/違反報告)
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