はち ページ9
私の心臓は早鐘を打った。
壁から剥がした木の板を掴み、扉を開けずに答えた。
『誰？』
「ユイだけど。今日はたまたま海で魚がたくさん釣れたからみんなで食べたいんだけど、Aもどうかな？」
『私は、いいかな。遠慮する』
「そっか。Aがさっきすぐいなくなっちゃったから、大丈夫かなって」
彼女にとってはただの心配なのだろうが、私にとっては疑われているという感覚が拭えない。
『わ、たしは大丈夫だよ。それより海で魚釣ったって？船に乗れたりするの？』
「船ってもんじゃないよ。海賊が乗ってるようなんじゃなくて、ただのボート。西の海岸に置いてるんだ。今度Aも一緒に行く？』
『そうだね、喜んで』
「やった。じゃあまた今度ね」
足音がドアの外から遠ざかる。
私は安堵とともに、その場にへたり込んだ。
早く逃げたい。
明日の夜明けぐらいに出発しよう。
＊＊＊
夜は一睡もせずに、みんなが寝静まるのを待ち覇気で確認してから、水筒に水だけ入れて島の西海岸に向かった。
『お、結構ちゃんとしてる船だ』
まだ誰も起きていないことをもう一度確認して、私はオールを漕ぎ出した。
沖に出たかな、というくらいで島の方を見ると、半分が透明になり、船が波に揺られるうちに、島があるはずの方向には水平線しか見えなくなった。
島から出たところでやっと安心する。
『だって、あんな風に普通に首切って穴に放り込んでく連中の中に、どうやって溶け込めってんだ。めっちゃ怖かったよ。』
思い返せば、たしかに四十代くらいの人は見かけなかった。
あの光景を思い出して身震いする。
『あれだけは本当に勘弁』
私は、唯一の自分の武器、見聞色の覇気を頼りに、うっすらと人の気配がする方向へ、オールを漕ぎ出した。
＊＊＊
「お頭ぁ！！」
子分の自分を呼ぶ声に、その海賊船の船長は振り返った。
「あすこにちっちゃいボートが見えてですね。人が乗ってるようなんですよ」
なに、と双眼鏡を借りて見てみれば、たしかにボートの上に人が乗り、手を振っている。
「この船が海賊船と知って手を振ってるんでしょうか。」
「でもなんだかちっちゃくないか？」
「確かにそうですが。」
そうこうしているうちに船とボートは間を狭めていき、それぞれの声が聞こえる距離まで近づいた。
『ぉーい！ぁすけてくれませんかぁ！ぉせてくださぁい！』
見てみればそれは十代くらいの少女だった。
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率(プロフ) - いずたろすさん» 読んでくれてありがとうございます！主人公は木から生まれた人みたいな感じですね。私はあんまりあらすじを書く才能がなかったみたいで、多分続編のあらすじもこういう感じだと思います^ ^ (2018年7月21日 18時) (
レス) id: 1fe256fb16 (このIDを非表示/違反報告)
いずたろす(プロフ) - すごく面白いです！主人公が植物人間ってどういうことだろう！？と思って見てみたのですが見事にこの作品にどハマりしてしまいました…(*'ω'*) これからも頑張ってください！ (2018年7月21日 17時) (レス) id: e17f26d915 (このIDを非表示/違反報告)
率(プロフ) - イリアさん» 今動画を見て確認しました。仰る通りでした。七武海を登場させるためにポンポン開いてました。他の方の作品を読んで、本部で開くものだと勘違いしていました。今から修正は無理だと思ったので、読み流してくれるとありがたいです。今度からはちゃんと調べるようにします (2018年7月21日 17時) (レス) id: 1fe256fb16 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - 七武海会議は世界政府管理でマリージョアで開かれるとてつもなく重要なことを決める為の元帥、大将、中将が集まるめちゃくちゃやばい会議なんですよ！ (2018年7月21日 17時) (レス) id: 9be3e906ec (このIDを非表示/違反報告)
率(プロフ) - はわわ、ありがとうございます。エピソードごとに別の人が書いたみたいになってしまう作品ですがみていただけて凄く光栄です！頑張りますm(__)m (2018年7月18日 18時) (レス) id: 1fe256fb16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：率です | 作成日時：2018年7月3日 13時
