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A side
歩いていると後ろから全身真っ黒の服を着た男の人たちが私の横を走っていった。1番後ろを走っていた人が何か小さな巾着を落とすのが見えた。
『あ! 落としましたよ!』
拾ってみるとその巾着はちょっと重量感があって、大事なものかもしれないと思い、男の人が曲がって行った角まで走った。
角を曲がるとそこには10人近い全身真っ黒の集団がいた。よく見たら全員、刀を持っている。
まずい。逃げなきゃ。
そう思ったとき、誰かが走ってくる音がして背後に人の気配を感じた。
誰なのか見ようと後ろを振り向いたとき、集団の1人が後ろから私の首に腕を回し、刃を首に押し当ててきた。
何が起きたのか分からずパニックになっていると、首に手を回している男が喋り始めた。
男 「それ以上こっちに近づくな。女を殺すぞ」
男は他の黒ずくめの男たちに先に行けと促し、男たちは頷くと走り去っていった。
その人はゆっくりと近づいてくる。影になって顔はよく見えない。もしかしたら助けてくれるかもしれない、そんな淡い期待はすぐに消えた。
?? 「ハッ… そんな女どうでもいい…… 誰に雇われた?誰の指示を受けてる?」
男 「脅しじゃない、本当に殺すぞ… 」
男の手に力が入る。さっきよりも刃が強く首に押し付けられ鋭い痛みが走る。
?? 「その女が死のうが生きようがどうでもいいんだよ」
そう言い捨てたその人の顔に月明かりがあたる。その人は顔の左側に仮面を付けていた。
『た…たすけて…ください… !』
藁にもすがる思いでその人に助けを乞うた。その人と目が合う。
『あっ……… 』
月明かりに照らされたギラギラとした目。間違いない、宮廷の浴場で見た男の目と同じだ。
あの時感じた恐怖が蘇って体が強ばる。
どうしてよりによって… もう誰も助けてくれない、そう諦めかけた時だった、どこからか短剣が飛んできて、男の腕に刺さった。
男 『ッグ…… 』
男が首から手を離した隙に逃げようとするが、焦って韓服の裾を踏んでその場で転んでしまった。
男 『クソッ… !』
男が私に向かって刀を振り上げる。
ダメだ、死ぬ。咄嗟に目を固く閉じた。
キィィィィン
金属音が聞こえ目を開けると、誰かが私と男の間に入って男の刀を受け止めていた。
この匂い… 私が好きなこの落ち着く匂い… まさか…
『ソク……ジン…様?』
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まちゃ(プロフ) - hirotdmさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているという言葉がとても励みになります!主人公ちゃん、高麗時代に来てから大変なことばかりですよね… 読者のみなさんもヒヤヒヤしますよね。 (2021年6月3日 0時) (レス) id: 81774260e0 (このIDを非表示/違反報告)
hirotdm(プロフ) - ここまでとっても楽しく読ませて頂いてます!これからどうなっちゃうんだろうって益々楽しみです。主人公ちゃんが痛い目に合うのがかなりのレベルなのでジンさんじゃなくても心配になります。 (2021年6月2日 13時) (レス) id: 69a4a38723 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - avrillさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!! 頑張ります(^^) (2021年5月8日 10時) (レス) id: 9254a9bcf9 (このIDを非表示/違反報告)
avrill(プロフ) - 今後の展開がとっても気になります!楽しみにしているので無理なく頑張ってください! (2021年5月8日 4時) (レス) id: dd6824d8fc (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - kokoさん» ありがとうございます!! 念願の初コメントいただけて泣いて喜んでます(涙) 頑張ります! (2021年5月8日 1時) (レス) id: 9254a9bcf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちゃ | 作成日時:2021年4月29日 22時