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TH side
誰もいない浴場に着くと、韓服を脱ぎ、乳白色のお湯に入る。
左目に付けている仮面を外し、広い湯船の真ん中まで移動した。
TH 「……はぁ」
左目の近くにある醜い傷を指でそっとなぞる。
TH 「こんな傷さえなければ…」
幼い頃は3兄弟でよく遊んでいて、仲も良かった。しかし、当時皇帝に仕えて国政を占っていた巫女が俺たち3兄弟の将来の星を占ってから、一変した。
上の兄2人にはなかった "将来、皇帝になる星" が、3兄弟の中で唯一俺にだけあったのだ。
母上は兄、ユンギヒョンを1番可愛がっていた。占いの結果を知ると、ユンギヒョンにはない皇帝の星を持つ俺に対して、どこかよそよそしい態度で接するようになった。
以前までは優しかったユンギヒョンも、自分にはない皇帝の星を持つ俺にだんだん嫉妬するようになった。
そんなある日、3兄弟で山に遊びに行ったとき、悲劇は起きた。木の枝に引っかかった凧を取ろうとして足を滑らせ数メートル下に落ちてしまったのだ。
落ちた衝撃で、滑落した前後の記憶はあまりはっきりとは覚えていない。顔から血を流して倒れているところをジミンヒョンが発見した。
一命はとりとめたものの、顔の傷は治らず、残ってしまった。
傷が出来てしまった後に再び巫女の占いを受けると、皇帝の星を持つことに変わりはないが、皇帝になると一族は滅亡するという恐ろしい結果が出た。
それからというもの、母上の態度は前とは比にならないくらい急激に冷たくなっていった。そしてついに、養子に出すという形で宮廷から、母上から、兄弟たちから遠ざけられたのだ。
ひとつ年上のジミンヒョンも前に比べるとその態度はぎこちないものだったが、俺の誕生日には必ず贈り物を送ってくれた。
ひとつ下のジョングクもよく手紙を送ってくれた。顔に傷が残ってしまい、みんな怖がって俺を避けるようになった中、7人兄弟の中で唯一以前と変わらず接してくれたのがジョングクだった。
俺の顔の傷を見ても怖がったり、目を逸らしたりせずに、" かっこいい "と言ったのだ。
宮廷から遠く離れたところで知ってる人もおらず、孤独に苛まれていた俺にとってジミンヒョンが送ってくれる贈り物とグクからの手紙だけが、俺と宮廷を繋いでくれていた。
空に浮かぶ月をぼーっと眺めていると、近くの水面が揺らいだ。
何かと思って見ていると、
『ブハーーー!!』
突然、お湯の中から人が出てきた。
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まちゃ(プロフ) - hirotdmさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているという言葉がとても励みになります!主人公ちゃん、高麗時代に来てから大変なことばかりですよね… 読者のみなさんもヒヤヒヤしますよね。 (2021年6月3日 0時) (レス) id: 81774260e0 (このIDを非表示/違反報告)
hirotdm(プロフ) - ここまでとっても楽しく読ませて頂いてます!これからどうなっちゃうんだろうって益々楽しみです。主人公ちゃんが痛い目に合うのがかなりのレベルなのでジンさんじゃなくても心配になります。 (2021年6月2日 13時) (レス) id: 69a4a38723 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - avrillさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!! 頑張ります(^^) (2021年5月8日 10時) (レス) id: 9254a9bcf9 (このIDを非表示/違反報告)
avrill(プロフ) - 今後の展開がとっても気になります!楽しみにしているので無理なく頑張ってください! (2021年5月8日 4時) (レス) id: dd6824d8fc (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - kokoさん» ありがとうございます!! 念願の初コメントいただけて泣いて喜んでます(涙) 頑張ります! (2021年5月8日 1時) (レス) id: 9254a9bcf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちゃ | 作成日時:2021年4月29日 22時