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その夜、早めにベッドに入ったが、
緊張してなかなか寝付けなかった私は
リビングに戻った。
ソファに座ったお母さんが
私に気づいて、緊張？と尋ねる。
「やっぱり私、無理かも」
そう嘆いた私の顔を見て、
小さく眉を下げて笑ったお母さんは、
少し高級なカモミールティーを
私の分まで淹れてくれる。
「無理なんてことないと思うけどな」
そう言いながら、
お母さんはテレビの前まで行き、
DVDプレーヤーに1枚のDVDを入れて、
そのまま私の隣に座った。
「これ、幼稚園のお遊戯会のときのA」
テレビの中には、
うさぎの格好をして、
何度か間違えながらも一生懸命に
自分のセリフを言う私の姿があった。
「何言ってるのかほとんど分からないくらい、おしゃべり上手じゃないけどね。でも、何度も何度も諦めずにセリフ言うAの
こと、すごいなぁって尊敬したのよ、このとき」
「もちろん、今の方が間違えることは恥ずかしいことかもしれないけど、だからと言って、間違えることはこれまで頑張らなかったことではないからね」
この頃のことはほとんど覚えていないが、
記憶が正しければ、
私はたしかお姫さまの役をしたかった。
しゃべるのがあまり得意じゃなかった私は、
結局うさぎの役になったのだけれど。
あの頃の私に、
実は明日お姫さまの役をするのだと言ったら
どんな顔をするだろう。
「ねえお母さん、私、明日頑張ってみるね」
「うん。お父さんと観に行くからね」
頷いてリビングを出ると、廊下の姿見に自分が映る。
たしかに少し痩せた私の体は、
それでも前よりいくらか逞しくて。
お風呂に入ったときには
どんよりとしていた顔も、
今は少し晴れやかに見えた。
自室に入ったのと同時に、
机の上のケータイが鳴って、
表示された森本くんからのメッセージに
思わず微笑んでしまった。
「緊張して眠れないんだけど、Aちゃん眠れた？！」
「明日頑張ろうね！！」
ずっと。
森本くんはこういうの慣れてて、平気なんだと思っていた。
でも、きっと彼はそう見せるのが
上手なだけだったのだと今更気づく。
「今から寝るところ！頑張ろうね。」
返信しながら、
明日、森本くんに会ったらありがとうを言おう。
そう決めて、眠りについた。
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はねこ(プロフ) - moonさん» moonさん、お読みいただき、コメントまでありがとうございます（ ; ; ）この小説！というものは特にないのですが、町田そのこさんの文章が好きで影響を受けているかもしれないです。また、余談ですが歌詞を読むのも好きです！今後ともよろしくお願いします(^^) (6月25日 19時) (
レス) id: 9f2c7cf6f4 (このIDを非表示/違反報告)
moon(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！( ´•̥_•̥` )はねこさんが書かれる文章が綺麗で、とても引き込まれるのですが、普段読まれていたり影響を受けた小説とかってありますか？読んでいて気になりましたので、差し支えなければ教えていただきたいです> < (6月25日 3時) (レス) id: 5847df65e8 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - 翡翠さん» 翡翠さん、お読みいただき、嬉しいコメントまでありがとうございます！頑張って更新して参りますので、引き続きお楽しみいただければ幸いです(^^) (5月18日 22時) (レス) id: 9f2c7cf6f4 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 深夜に読んで号泣してます（т-т）松村先生帰ってきて~(;_;)(;_;)(;_;) 素敵なお話ありがとうございます(><)更新楽しみにしてます、！ (5月17日 2時) (レス) @page6 id: 6c0d9e0967 (このIDを非表示/違反報告)
はねこ(プロフ) - まゆみんさん» まゆみんさん、コメントありがとうございます。先ほど更新致しました。表示されておりますでしょうか？ (5月15日 0時) (レス) id: 9f2c7cf6f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はねこ | 作成日時：2022年9月7日 0時
