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今日も朝から広すぎる屋敷のお手伝いさんに人形を扱うように化粧を施されて、着替えを促されて……玄関に脚を運ぶと嬉しそうな深澤の顔
「ふは、めっちゃ似合ってんな。さっすが俺の
…………奥さん」
どれだけ時が経ってもアイツの妻であるという真実を突きつけられる度、心臓を貫くのは兄の笑顔だった
着いた先は高級ホテルのレストランで、結婚記念日だと豪華な料理が次々と運ばれてくる
「ほら、A？食わねぇとまぁた痩せるぞ？これ、めっちゃ美味ぇし」
向かい合うテーブルで、柔らかい表情のまま私の様子をずっと注意深く伺っているのがわかる
結局罪悪感で何も手につかなくて、デザートに唯一スプーンを潜らせて口に運んでも……味はしなかった
「今日は、見せたいもんがあんだよね」
綺麗になったテーブルに、深澤が差し出したもの
『………その、携帯………』
「おん。パスワードわかんだろ？いいよ、開けて」
アイツの顔色を伺っても平気そうにヘラヘラしていて、何か裏があるのではと不安になりながら画面に触れた
表示された文字に………目を疑う
『データが……ありませんって……』
「とっくに借金のデータは消してある」
『そ、そんな……』
私は何のために深澤と結婚を？
『私を………逃さないために……嘘を』
結局踊らされていた
私が怯えていたものは、ただの空想で
「………ごめん。謝って許される事だと思ってねぇから。だからいいよ、もう逃げて。こっから逃げていい」
席を立って近づいてくる深澤は、私の椅子を引いて出口を指さす
「ほら、いいんだよ？」
やっと、やっと解放されたんだ
そう、思っているのに………
────動かない身体
あぁ、私。恐ろしい罠に掛かってしまった
お兄ちゃんへの罪悪感と絶望感は
自分自身へのものだったんだ
"深澤の愛"という新たな縄に縛られて
あの時と同じ、椅子に座ったままの私にしゃがんで目線を合わせて、ぽん、と頭に手を乗せる
「ふは、いいの？もう二度と、
………こんなチャンスねぇけど？」
全ては深澤の掌の上
離れられないのが悔しくて
こんな奴を"愛しい"と思う自分が汚くて
涙をこぼす私を
深澤は嬉しそうに、抱きしめた
「A、愛してる」
END.
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kae(プロフ) - いくさん» いく様！全て読んでいただけたなんて！嬉しいお言葉、こちらこそありがとうございます！B型のお話は変わった形に挑戦してみた作品だったので、気に入っていただけて感激です😭これからもぜひよろしくお願いします♡ (2022年7月31日 16時) (
レス) id: c0ea9eb106 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - はじめまして。一気読みしました。とっても面白かったです。Ｂ型の男、あるある〜って思って読んでたら最後は優しさ出てきてステキだなと思いました。ありがとうございました。 (2022年7月31日 14時) (レス) @page42 id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - あいさん» 終わりに涙していただけるなんて勿体ないです…本当に感謝に尽きます！またいつか紫づくしできるようにネタを貯めたいと思います♡またあいさんのお気に召す物語をかけるように努力します！これからもよろしくお願いします〜♡ (2021年10月16日 17時) (レス) id: 03cd483279 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - あいさん» あい様（ ; ; ）いつも本当にたくさんの愛のあるお言葉ありがとうございます！！紫さんの特徴を掴んで書くことを意識していたので凄く嬉しいです♡担当のあいさんに褒めてもらえればもう何も怖くありません。笑 許せない男推しですね？有難いです（ ; ; ） (2021年10月16日 17時) (レス) id: 03cd483279 (このIDを非表示/違反報告)
あい - そして、またあとがきにお名前を記載してくださった事、以前にノリでも何でも私にファンと仰ってくれた事、とても嬉しかったです。いつもありがとうございます！いつも心配性が入ってしまうけど、心を込めてラブ！ (2021年10月16日 13時) (レス) id: 19c4a69f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2021年9月26日 22時
