許せない男 ページ16
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暗い店内でもさらに一番奥の席に案内されるのは一握りの人間で、経営する母体は怪しい会社であるとの噂からか、裏社会のお偉いさんたちが来店することが多い
法律で合法的にアルコールを摂取できる日が来るのを喉から手が出るほど待ち侘びていた
経歴や過去のことはほとんど触れられなくとも働くことができたのは、それなりにワケがあって夜の街に集まる女の子が多いからだろうな、と予測はついた
「姫ちゃん、今日ヘルプよろしくね」
『はい！』
適当な名前で2ヶ月働いているといえども、もちろんまだまだ新人の部類で指名が来ることはあまり無い
こまめな連絡を取る営業は適度に真面目にやっているけれど、そんなに上手く最初から売り上げが伸びるほどこの世界は甘くない
でも、私にとってそれはどうでもよかった
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ウイスキーグラスに四角い氷を３つ入れたら、お酒を注いでマドラーを回して底の水滴を拭き取る
控えめな笑顔でそれを差し出せば「ん、さんきゅ」と彼は微笑む
高そうなシルバーの時計、ゴールドのピアスとチェーンネックレスが光って、黒のサングラスをゼブラ柄のシャツに引っ掛けている
どこからどう見ても、まともな世界の人間じゃない
「新人さん？……よろしくね」
ひとくち、喉を鳴らしてお酒を流してから、脚を組んで顔を覗き込まれる
思わず顔を背けそうになるのを堪えてから彼がポケットから取り出した煙草に気づいてなるべく素早くライターを傾けると、それを咥えたまま、ニヤリ、と笑ってみせて、ふぅ、と煙を吐き出す
「へぇ…姫ちゃん、出来る女だねぇ。
………気に入った」
『ふふ、ありがとうございます』
短いスカートから見える脚の空気に触れる素肌に、彼の華奢な指が、するり、と撫でる
「肌、白くて……綺麗だね」
『もう、お触り厳禁ですよ？』
余裕たっぷりに微笑みながら、這う手を押さえる私の手の甲に、逆の手を重ねられて……耳元に近づく吐息が擽ったい
「んな、厳しいこと言わねぇでさぁ。
………今日、この後一緒に、な？」
『えぇ、ふふ……どうしようかなぁ』
緩く顔を傾けて困った顔をして、ほらあと一押し
「ふは、断るなんて無し。
………帰さねぇから」
ビンゴ。
私が何を企んでいるのか、そんな事は知る由もないだろう
兄を裏の闇から抜け出せないように縛り付けて
命を奪ったこの男の
全てを壊してやる────
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kae(プロフ) - いくさん» いく様！全て読んでいただけたなんて！嬉しいお言葉、こちらこそありがとうございます！B型のお話は変わった形に挑戦してみた作品だったので、気に入っていただけて感激です😭これからもぜひよろしくお願いします♡ (2022年7月31日 16時) (
レス) id: c0ea9eb106 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - はじめまして。一気読みしました。とっても面白かったです。Ｂ型の男、あるある〜って思って読んでたら最後は優しさ出てきてステキだなと思いました。ありがとうございました。 (2022年7月31日 14時) (レス) @page42 id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - あいさん» 終わりに涙していただけるなんて勿体ないです…本当に感謝に尽きます！またいつか紫づくしできるようにネタを貯めたいと思います♡またあいさんのお気に召す物語をかけるように努力します！これからもよろしくお願いします〜♡ (2021年10月16日 17時) (レス) id: 03cd483279 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - あいさん» あい様（ ; ; ）いつも本当にたくさんの愛のあるお言葉ありがとうございます！！紫さんの特徴を掴んで書くことを意識していたので凄く嬉しいです♡担当のあいさんに褒めてもらえればもう何も怖くありません。笑 許せない男推しですね？有難いです（ ; ; ） (2021年10月16日 17時) (レス) id: 03cd483279 (このIDを非表示/違反報告)
あい - そして、またあとがきにお名前を記載してくださった事、以前にノリでも何でも私にファンと仰ってくれた事、とても嬉しかったです。いつもありがとうございます！いつも心配性が入ってしまうけど、心を込めてラブ！ (2021年10月16日 13時) (レス) id: 19c4a69f60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2021年9月26日 22時
