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不思議な生活が始まった。同じ名前の人形と私。涼太さんはそれを全く平等に扱った。大切な宝物が増えたと、私の髪を撫でて微笑んでくれた。
『あ、の、自分で…』
「ううん。大丈夫。俺が、やりたいだけなんだ」
『は、い…』
「ほら、あーん」
『ん、……とってもおいひいです……』
「はは、ありがとう。沢山食べてね」
目の前に出されるプロである彼の料理はそれは美味しそうなものばかりで、もちろん隣に座る人形の前にも同じものが並ぶ。ひと口分ずつ丁寧に彼のフォークから運ばれるそれを、せっせと喉に通す。彼は私が咀嚼している間に人形に食べさせるフリをして、そのまま自分の口に運ぶ。
『ごちそうさまでした』
「お粗末さまでした。2人とも完食してくれて感激だよ」
私はそれにただ、やんわり笑顔を返した。
朝起きた瞬間から、眠りにつくまで。私は人形に施される全ての生活を受動的に過ごした。最初は驚いた。伝えられていた通り、全く自分の行動を必要とされなかったから。ただ、否定は厳禁だ。裸にされようが、四六時中抱きしめられようが、受け入れるしかないのだ。酷く扱われることを心配していたけれど、涼太さんは決して獣のような振る舞いはしなかった。
さらに救いだったのは、約束された通りに大学生活は自由だった事だ。与えられたクレジットカードは好き放題に使わせてもらえたけれど、なんとなく気が引けて無駄な買い物はしなかった。借りがあればあるほど、あの世界から逃げ出せなくなるような気がしていて……やっぱり心のどこかで怖いと感じていたのだと思う。
「今日は夜から仕事だから、遅くなるんだ。Aちゃんは連れていくけれど、Aは家でゆっくりしててね」
『かしこまりました、涼太さん』
「ふふ、いい子だね」
元々彼は人形に"ちゃん"の愛称をつけていた。それに対して私は呼び捨て。でも、それこそが私を人間的に扱っているような気がしていた。それもあって、年月が経るごとに私の感覚は麻痺していった。
「今夜もA達は美しいね。……愛してる」
『ん、っ……おやすみなさい』
「うん、おやすみ」
寝入る前に抱きしめられてキスを落とされるようになったのは、一緒に生活して半年を過ぎた頃のことだった。その時にはもう、違和感に苦しむ日々は平穏な生活として過ごせるようになり、困難に苦しみひとりぼっちだった昔の日常を思い出さなくなっていた。
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
