人形姫【❤️】 ページ7
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毎朝、私はアラームに頼る事なく目覚める。まだ働かない頭を察して、それを愛おしそうに撫でる彼の手はいつも冷たい。
「おはよう、A。よく眠れた？」
『涼太さん、おはようございます……はい、ぐっすりと』
「そう。よかった」
心の底から安心したような表情が、錯覚を起こしてしまいそうになる。目の前の人があまりにも外見上は素敵な紳士でしかないから。
「今朝は洋食にしてみたんだ。かぼちゃのポタージュ、今温かいのを用意するから待ってて？」
『ありがとうございます』
ダイニングテーブルに向かい合って座る時、彼は必ず私の椅子を引く。それは決して優しさなどではない。どこまでも徹底して、私の意思のある行動を許してくれないだけ。
「今日は午前に仕事があるんだ。雑誌の連載の撮影が入ってるんだ。あと1時間後に出るからね」
『分かりました』
「食べ終えたら次は着替えて、髪を整えようね」
『はい』
この会話が小さい子供と親の会話なら誰も不思議がらないだろうけど、実際行われているのはもういい歳の男女であるから可笑しい。しかも、その間からはあくまで主従関係のようなもの。愛し合っているとかいう生暖かいドラマのような内容ではない。
「ここに立って？うん、そう。さぁ、脱がせるね」
『……』
彼は丁寧に洋服を剥いでいって、迷う事なく下着も取り払う。鏡に映る私の身体は、昨晩の数え切れないほどの鬱血痕で溢れていた。別にそれはお互いにあまりに見慣れた光景であって、何も触れることはない。そしてまた淡々と彼は自身が用意した全てを、慌てる事なく着せていく。
「うん、Aはやっぱりニットが似合うね。柔らかい雰囲気そのものだ」
『ありがとうございます』
「髪も長くなってきたね……そろそろまたトリートメントをしないと」
『はい』
挨拶程度に緩めた口元を、彼はまた嬉しそうに受け取る。例えそれが私の冷え切った心を偽った行動であったとしても、彼はそれに気づくことない。いや、正確には汲み取ることができない。単純に彼は本来人間に宿るはずの何かを得ることができずに、この世に誕生してしまった。それを成長の過程で誰も補足することができなかった。その答えが今の姿であり、そこに不幸にも選ばれた被害者が私であったらしい。
「俺にはもうAしかいないから。……愛してる」
今日も彼の命よりも大切な人形として生きるのみだ
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
