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俺はある意味ずっとこの日を待ち望んでしたし、それが必ず達成されると計算していた。ただ、こんな誤算が生じたのは……あの男とクズなAの両親のせいで間違いない訳で。
「A？………聞こえて、る？」
『………』
車椅子の彼女に波音に負けないくらいの大きな声で、肩を優しく叩いて伝えてみても、なんの反応もない。ただ、真っ直ぐにその視線は水平線を見つめていて、気力が全く感じられない
「…………くそ、」
自分の太ももに拳を強く打ち付ける。………ああ、腹立たしい。この気持ちをどうしようもできない。康二を問い詰めることも、殴ることもできなければ、なんならAの頭の中からあいつを消すことすらできない。せめて生きていてくれれば、非情な手を使って、忘れさせることもできたのに。Aの両親は本当に余計なことをしてくれたものだ
「A？少し寒くなってきたから、帰ろう？」
『……………こう、じ………』
俺の愛するAは他のことは何も覚えていないというのに、"向井康二"という人物の全ては知っている。こうやって毎日、この海の前であいつを思って涙を流して。俺のことは名前すら呼んでもらえない。康二と３人で過ごした日々も覚えていない。あんなに懐いてくれていた過去は、隙間ひとつ彼女の脳内に残っていない
「…………あいつは、……康二は、もう居ないんだよ」
『っ、……そんなこと、ない』
指がちぎれてしまうのではないかと心配になるくらい、彼女は指輪を強く強く奥に嵌めようとする。もう充分、根本に嵌っているのに、誰にも盗られないようにと、ぐい、ぐい、と指の皮がめくれて血が出ても、それを止めようとしない。分かっている現実を信じたくない少女、とでもいうのか。大切なおもちゃを奪い取られたような、寂しい瞳で俺を見上げる
「…………康二は、亡くなった。Aの目の前で、
…………崖から落とされたろ？」
思わず、イラつきを抑えられなくなった。医者から絶対にその琴線に触れてはいけないと、言われていたのに。いつまでも俺をみようとしないAに、完全な八つ当たりをして
『なんっで、………そん…な、意地悪……言うの、』
ぐちゃぐちゃに崩れるその顔に、は、と平常心を取り戻した。「ごめん、ごめんね」と慌てて抱きしめた彼女の身体は、海風で冷え切っていた
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kae(プロフ) - meeeeenさん» meeeeen様、いつも優しいお言葉をかけてくださってありがとうございます😢架空とはいえ、ありそうだなぁとお話の世界に入っていただけて嬉しいです🙏こちらこそ読んでくださってありがとうございます。これからもよろしくお願いします😭 (2023年4月4日 18時) (
レス) @page49 id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
meeeeen(プロフ) - 最後まで楽しく拝見させていただきました。勿論、彼らは素敵な人でそんなことはしないであろう…でも、想像できます。素敵なお話ありがとうございました！！ (2023年4月4日 11時) (レス) @page50 id: f8e174bf81 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ゆきさん» ゆき様〜！いつも温かいコメありがとうございます😭あまり反応が無くて悲しくなってたんですが、一気に全部吹き飛びました😂これからも頑張れます…！ほんとにほんとに凄く嬉しいです！！これからも宜しくお願いします♡ (2023年4月2日 10時) (レス) id: 2742f5c4f0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - kae様、いつも刺さりまくるお話ありがとうございます！ ダークなスノさん最高でした🥹 またお話たのしみにしておりすます！ (2023年4月2日 8時) (レス) @page50 id: 6c8365d1f8 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - まーたんさん» まーたん様、コメありがとうございます😭のんびり更新とはなりますが今後ともお付き合いください💦 (2023年1月4日 15時) (レス) id: 0d3898dd38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kae
| 作成日時：2022年12月5日 0時
