熱中症 6 ページ7
智Side
智「A、気持ち悪い? 吐きそう?」
.
慌ててAの様子をみてみると、顔色は真っ青で、
込み上げてくるものを抑えているかのように、
何度もごっくん、ごっくんと唾液を飲み込んでいた。
.
.
.
智「ちょっと待ってね〜
もう少し我慢ね〜」
.
僕はAを膝の上に座らせると、
口元にビニール袋をもってきてやった。
.
.
智「よし、気持ち悪いのだしちゃっていいよ。」
背中を波打たせながらも、イヤイヤと首を横に振っているA。
一回吐いちゃったほうが楽だと思うんだけど・・・
.
.
.
和「A、我慢しないでいいんだよ?
ほら、怖くないからね〜
頑張ってゲェしちゃおうね〜」
.
和がAの背中を少し強めにトントンすると、
Aは咳き込みながら袋の中に吐きはじめた。
さっきまで真っ青だった顔に赤みが戻っていく。
.
熱中症で気持ち悪いのもあったんだろうけど、
たぶん車酔いもしちゃってたんだろうな。
とりあえずはこれで、少しは落ち着いてくれると思うんだけど。
.
.
.
智「よ〜し、よく頑張ったね〜
もう大丈夫だよ〜。ほら、泣かない、泣かない。」
よかった、これだけ泣ければ大丈夫だ。
さっきまで一言もしゃべらなかったから心配だったんだよね。
.
.
.
多少スッキリしたからか、少しずつ水も飲んでくれて一安心。
だんだん回復してきてるみたいだけど、
一応ちゃんと診てもらった方がいいよね。
.
.
.
翔「A、大丈夫かぁ?
苦しかったねぇ。
もう少しで着くから。もうちょっと我慢なぁ。
智にぃ、小児科のある病院でいいよね。
さっき看板でてたから行ってみるよ。」
.
僕は翔とバックミラーごしに目を合わせると、“うん”と返事をした。
.
.
よかった、小児科があるなら安心だ・・・
そうホッとしていると、急に車内にAの声が響き渡った。
.
.
「やぁっ!! びょーいん、いいーっ!!!」
.
元気になってきたのはいいんだけどさ、
こんなにすぐに大声出したら、またクラクラしちゃうよ?
.
.
「んん〜・・・・ふぇ・・うぇ〜ん」
ほ〜ら、思った通りになっちゃったじゃない。
.
智「よしよし。
おめめつぶって。頭、コテンってしてようね。」
.
.
眉間にしわを寄せながらぎゅっと目をつぶったAを
向かい合うよう膝に座らせると、
僕の胸に寄りかからせながら、背中を優しくたたいてやった。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
