熱中症 10 ページ11
智Side
「うえぇぇぇん!!!! いぃぃやぁぁぁああ!!!!」
.
う〜ん・・・これは予想以上。
.
.
.
.
“点滴しますね〜”といって近づいてきた看護師さん。
ベッドに寝かされて固定しようとするものの、
これでもかってくらい抵抗するAに、手が付けられないようだった。
.
ぐったりしていた時と比べれば、
これだけ泣いて暴れるくらいの元気がでてくれて嬉しいんだけどね・・・
.
さすがにこれだけ泣かれると、ちょっと困っちゃうなぁ。
.
.
.
看「Aちゃ〜ん。
ほ〜ら、かわいいお人形さんだねぇ。
こっち見てごら〜ん。」
.
補助の看護師さんがクマのお人形をチラつかせながら気を引こうとしてるけど、
Aにその声は届いていないみたい。
.
針を手にねらいを定めている看護師さんも、
Aがあまりに暴れるからなかなか刺せないようだ。
.
.
.
智「ちょっとチクッてしたらおしまいだよぉ。
Aはいい子だもんねぇ〜。頑張れるよね〜」
「やっ・・うぇっ・・さとっ・・に・・・ﾋｯｸ・・チックン・・やぁっ」
.
呼吸もままならないほどしゃくりあげながら、
途切れ途切れの言葉で僕に助けを求めてくる。
できれば看護師さんにはできるだけ早く終わらせてほしいんだけどなぁ〜
.
Aほど暴れる子の注射は慣れてないだろうから、
僕らなんかと比べたらいけないんだけど。
それでも、“あっ、今いけるっ!!”ってタイミングが
これまでに何回かあったんだよねぇ。
.
.
もうしょうがない・・・ちょっと無理やりだけど・・・
ごめんね、A。
早く怖いの終わらせてあげるからね。
.
僕は和と目を合わせて合図すると、お互いにコクンとうなづいた。
.
.
.
先「高橋さん、お兄さんにお任せしてみたら?
その方がAちゃんも安心だろう。」
.
僕らが暴れるAの手足を押さえつけようとしたとき、
ちょうど先生がやってきた。
.
看「いいんですか?」
針を持っていた人が高橋さんだったようだ。
.
高橋さんは先生に“サポートにまわってあげて?”と言われると、
“お願いします”と僕に軽く頭を下げた。
.
.
部外者の僕らに大切な医療行為を任せてくれた先生に申し訳なくも思いながら、
僕はニコッと笑っている先生に“ありがとうございます”と感謝の言葉を伝えた。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちさ
| 作成日時：2012年9月28日 23時
