病院脱走!! 5 (和) ページ38
智Side
智「はい、せーの・・・・チクッ・・」
和「ん゛・・・・・・」
智「よ〜し、頑張った。」
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なんとか無事に点滴も終え、
和はふぅ〜っと息を吐き出して、安心した顔をしていた。
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智「じゃあちょっと寝ておこうか。
検査いっぱいで疲れたでしょ。」
優しく触れる程度に頭を撫でてやると、
和は少しうるんでいた目をそっと閉じた。
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今のところ点滴も泣かずに頑張ってくれてるし、
もしかしたら今回はそんなに苦労しないかもなぁ。
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なんて、このときはのんきに考えていたんだけど・・・
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まさかこれから、あんなことが起こるなんて・・・
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入院から3日後。
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智「はい、もう一回コンコンして?」
和「ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ・・・・ん゛っ・・・ｺﾞﾎｯ・・・」
智「ダメだなぁ・・・・でないねぇ。」
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痰がつまって苦しそうな和。
背中を叩いて咳をさせてみるも、
なかなかうまく排出できないようだ。
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こうなったらもう最終手段をとるしかないんだけど・・・
なんで和が肺炎で入院するとこうなるかなぁ。
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可哀想だからできればやりたくないんだけどね。
ここまで毎日の点滴も順調に頑張っててくれたのに。
ここにきてまた泣かせることになるとは。
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智「かず、あのさぁ・・・」
和「やだよ・・・・・・・・」
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もう和もなにされるかわかってるんだ・・・
そりゃそうか。
いつもこのパターンで吸引されちゃうんだもんね。
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智「嫌なのは知ってるよ。
でも、苦しいままにしておくわけにもいかないの。
ね? わかって・・・・かず・・・」
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“嫌だ”ってそっぽを向いてしまった和の顔を片手で引き寄せながら、
僕を見ようとしない和の目を追いかける。
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智「苦しいの取って、楽になっちゃおうよ。
すぐ終わりにしてあげるから。ね?」
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ようやく目があった和は、
目に涙をためながら小さく何度も首を横に振っていた。
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智「早く元気になるんだもんね?
すぐにおうち帰れるように、僕、頑張るから。
和も頑張ろう?」
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一言も言葉を発さない和を心配しながらも、
僕は病室をでて、急いで吸引の準備を行った。
もうこうなったらできるだけ早く終わりにしてやった方がいい。
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そう思い、走って戻った病室で、僕は固まってしまった。
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和がいない・・・・・
・・・・・・・これは、まずいことになった;
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革ベルト
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
