病院脱走!! 7 (和) ページ40
智Side
和が病室からいなくなった。
トイレをのぞいてみたけど、人がいる気配はない。
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点滴は外されていて、
針の先端からポタポタと滴る薬液が、床に小さな水たまりを作っていた。
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これはただ事ではない・・・
僕の直感がそう語っていた。
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和は今、免疫力が落ちてしまっている。
体力も落ちていて、一人で出歩けるような体じゃないのに・・・
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もし、外になんか出て肺炎が悪化してしまったら・・・・
そう考えただけでも、背筋が凍りつくような思いだった。
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とにかく、和を探さないと!!
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智「ねぇ、和見なかった?」
看「和也先生ですか?
う〜ん、見てないですね〜
どうかしたんですか?」
智「あ・・・・いや、なんでもないよ。ありがとう。」
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まだ病院内にいるかもしれないし、
騒ぎになるのだけは避けておきたい。
とりあえずはまだスタッフには黙っておこう。
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さて、いったいどこから探す・・・・
もしすでに外に出てしまっているのだとすれば、範囲が広すぎるよなぁ。
一刻でも早く見つけ出さなきゃなのに・・・・
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智「しょう・・・・・・」
僕はそろそろ翔の仕事が終わる時間だということに気付き、
反射的に発信ボタンを押した。
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翔『はい、もしもし。』
智「翔!! 今時間大丈夫?」
翔『大丈夫だけど・・・どうしたの、そんな慌てて。』
智「ごめん、つい焦っちゃって。
実は・・・・・・・」
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翔『はぁ!? 和がいなくなった!?
どうしてそんな・・・・・』
智「僕が悪いんだ・・・
和の気持ち、考えてあげられなかったから・・・」
翔『いったい何があったっていうの・・・・
まあ、詳しいことは後にして、とにかく今は和を探そう。』
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僕は翔との電話を切ると、病院を一通り探し回った後、
白衣も脱がずに外に駆け出した。
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秋の訪れを知らせるような、スーッとした冷たい風。
熱のある和にとっては、そうとう辛いだろう。
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僕はとにかく、病院の周りを片っ端から探し続けた。
スーパー、コンビニ、本屋、公園・・・・
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どこを探しても、いくら走り回っても、和の姿は見つからなかった。
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どこにいったの・・・かず・・・
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和にもしものことがあったら・・・
僕は・・・・・僕は・・・・・
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お願い、和・・・・・無事でいて・・・・
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革ベルト
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
