中耳炎 5 ページ16
和也Side
あのあとAは自分から耳が痛いと言った。
たぶん痛みが限界なって、耐えられなくなったんだろう。
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僕の目をみて必死に
“いたいのとってぇ”って訴えてきたからね。
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Aが中耳炎になるのはこれが初めてじゃない。
数年前にも風邪で寝込んでる時に耳が痛いと言い出して、
耳鼻科で治療してもらったんだ。
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それがあまりにも痛かったから、
きっと今回も同じことをされると思って怖かったんだろうね。
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大泣きするほど痛いのを我慢して、
それでもなんとか隠そうとしてたんだもん。
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「かずっ・・・ﾋｯｸ・・にぃ・・・いたいのぉ」
和「うん。痛いねぇ・・・
すぐ楽にしてあげるからね。」
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あれだけ痛がってるとなると、
だいぶ鼓膜腫れちゃってるんだろうなぁ・・・
嫌だなぁ・・・耳鼻科なんかにつれてくの。
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治療が痛くなるのなんて目に見えてるもん。
俺だってできれば痛い思いなんてさせたくないし、
痛みに泣き叫ぶ姿だって見たくない。
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でも、医者としてそんなこと言ってられないからね。
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翔「和、準備できたぞ。行こう。」
和「うん。
A? お耳痛いの治しに行くよ?」
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いつものごとく“いやだーー”と暴れだしたAを翔にぃが抱き上げて、
そのまま車に乗ってくれた。
さあ、戦場に向かいましょうか。
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和「えぇっ!? 今日、斗真いないの!?」
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病院について看護師にあることをたずねると、予想外の言葉が返ってきた。
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看「はい。昨日から出張に出かけてますが・・・」
そうだった・・・忘れてた・・・
困ったなぁ・・・
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専門的なことに関しては俺より斗真に任せた方が安心だと思ってたのに。
Aも斗真なら知ってるし、いけると思ったんだけど・・・
こうなったら、俺がやるしかないか。
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和「A〜、お部屋入ろ〜ね。」
泣き疲れたのか、
待合室で翔にぃに抱かれてうとうとしていたAをそっと抱き上げる。
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静かに俺に抱かれていたAも、
診察室に入った瞬間また泣き出してしまった。
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こうなるだろうとは思ってたけど、
それにしても泣き声、大きすぎない?
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年8月24日 1時
