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＊松本side
玄関の扉を開けた雅紀を見て、俺は眉を寄せた。
翔さんに相談したいことがあると言われ、今日は雅紀と俺で翔さんの家に行くことになっている。
最近頬がこけてやつれてしまっている雅紀を１人で歩かせたくなくて、俺は雅紀の家まで迎えに来ていた。
雅紀は、前会った時よりもさらに痩せていた。
多分、食事もろくにしていないのだろう。
「雅紀、支度して。翔さんのところ、行こ。」
なるべく優しい口調でそう言うと、雅紀は少しだけ笑って奥の寝室へと消えていった。
「はぁ……。」
玄関の天井を見上げて、俺は溜息をつく。
翔さんが俺に個人的に送って来たメッセージの内容によると、雅紀に翔さんのお父様から、カズのことや雅紀の父親のことで分かっていることを話した方がいいのではないか、ということらしい。
…本当にそれでいいのだろうか。
…本当にそれが雅紀にとって良いことなのだろうか。
カズのことは俺も詳しくは分からないけど、20年前、亡くなったと伝えられていた雅紀の父親が本当は生きていたことを俺は知っていて、雅紀のためを思って今まで黙ってきた。
今、この状況で、伝えるべきことなのだろうか。
雅紀を余計に苦しめることになるのではないだろうか。
「潤。お待たせ。」
支度をして玄関に現れた雅紀を見て、俺は無性に泣きたくなった。
「…潤？」
気づいたら、俺はその細くなってしまった体を抱きしめていた。
雅紀が、いつか俺のそばからいなくなってしまうような気がして。
今ここにある雅紀の温もりを失ってしまう日が来るような気がして。
「…大丈夫だよ、潤。」
その声に顔を上げると、雅紀は温かい瞳で俺を見つめていた。
俺の頭をその大きな手で撫でて、俺の大好きなその目尻にシワを寄せて笑う。
「大丈夫だよ。」
ただ、大丈夫だと笑う雅紀。
そこには、きっといろんな意味が込められている。
それは、雅紀の今できる精一杯の優しさ。
「うん。」
だから、俺も笑顔で返す。
これは、俺の今できる精一杯の…強がりだ。
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壊れた消しゴム - 一瞬で読み終えました。この後カズは40年たって相葉さんと会えてるのかがわからんがいい話でした！これからも出筆ガンバです！ (2017年7月3日 1時) (
レス) id: 376699f6a2 (このIDを非表示/違反報告)
aim(プロフ) - 雪瀬さん» 雪瀬さま、コメントをありがとうございました。この作品を読んでいただけて嬉しいです。本日完結しましたが、雪瀬さんにとって納得のいくラストになっていたら嬉しいです。 (2017年6月12日 9時) (レス) id: ba86f15203 (このIDを非表示/違反報告)
雪瀬 - 一気読みさせていただきました。とても素敵なストーリーで感動しました。これからの５人がどうなるのか・・・続きを心待ちにしています。 (2017年6月2日 20時) (レス) id: d581ee13dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aim | 作成日時：2017年5月28日 20時
