49 ページ6
.N side
「……っ、いた、」
帰宅路から少し外れた小道に佇む、小さな倉庫のような建物。
そこに、相葉さんが座っているのが見えた。
その瞬間、俺は無意識に駆け出していた。
「相葉さん！」
大声で呼びかけると、ゆっくりとこちらに顔を向ける。
近づけば、涙を流す相葉さん。
「にの、……みやさん、……」
呼びかけられて、思わず手を握った。
「うん。大丈夫？」
「…ごめんなさい、……お仕事」
「大丈夫よ。ただの打合せだったし、明日でも明後日でも問題ないから」
握った手は冷たくて、肩口や髪の毛が濡れているから、きっと元々は別の場所にいて、ここに避難してきたんだろうと察した。
「身体、冷えちゃってるね。…寒かったでしょ」
早く家に帰らせたいけど、タクシーはこの小道には入ってこないだろう。
でもこんな状態の相葉さんをこれ以上歩かせたくもない。
しかも、翔くんは、出張中で都内にいない。
……どうする。
ブーーーーーー……、
その時、ポケットの中のスマホが震えた。
取り出せば、……潤くんからのメッセージ。
『頑張れよ』
もう、なにも構ってられない。
「……もしもし？ニノ？どした？」
「ごめん、潤くん。今からすぐ、車出せる？」
「え？」
電話の向こうで潤くんが小さく答える。
「……守りたい人を、守るため？」
「………うん」
向こう側の空気が、緩んだ気がした。
「わかった。今からすぐ行く。どこに行けばいい？」
近くにある自販機に書かれた住所を読み上げて、通話を切った。
いろいろと突っ込まれることはあるだろうけど。
もうそんなことはどうでもいい。
だって、俺は相葉さんが好きだから。
それは、誰になんと言われようと、変わらない想い。
正直に言って、なにが悪い。
正直に生きて、なにが悪い。
守りたい人が、ここにいるんだ。
だから、守る。
ただそれだけ。
潤くんの車が来るまで、なるべく相葉さんが感じる寒さを和らげたくて。
肩を抱いて、その腕をさすり続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aim | 作成日時：2019年6月16日 15時
