月夜に、恋。＊２ (ページ5)

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タクシーの中。

窓にポツポツ、と雨の当たる音がして外を見た。

それは少しずつ雨音が強くなって、本格的に降り出したことを知る。

「相葉さん？雨、降ってきたでしょ？どこか濡れない場所にいられる？」

電話の向こうにそう問いかければ、か細い声で、うん、と返事がした。

しばらくして、タクシーがスーパーに到着して。

釣りはいらないから、と大目に支払ってすぐにタクシーを降りた。

悪いと思いつつもひっつかんだ出てきた、事務所にあった誰かのビニール傘をさす。

辺りを見渡しても、それらしき姿はない。

「相葉さん、とりあえず近くのスーパーまで来てみたよ。どっちの方向に向かったとか、覚えてることあるかな？」

「……分からない、…。でも、…家に帰ろうと、したの。そしたら、しばらく歩いたところで、ぶつかっちゃって……っ、」

「わかった。そっちの方に向かって歩いてみるね」

そう言って、そのまま通話を切らずに探す。

しばらく歩いてみたけど、相葉さんの姿はやっぱり見当たらなくて。

道を外れてしまっているのだろうと思った。

「相葉さん、大丈夫？寒くない？」

「……うん、」

変わらず小さな声で答えてくれる相葉さん。

でも、きっと心細くて不安がこみ上げてきているだろう。

早く見つけてあげたい。

俺は、周辺を隈なく探していった。