月夜に、恋。＊２ (ページ16)

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「え、翔くんも来てたんですか？」

「はい。挨拶しなくていいのかって、俺言ったんですよ？でも、もう住む世界が違うから、って」

「なんだよ、翔くん。水臭いなぁ」

そう言いながらも、嬉しそうにはにかむ潤くん。

かつてお兄ちゃんのように慕った人が、こうして今の自分を見てくれているのだと分かって、きっと喜んでいるのだろう。

「だから、…顔は分からないですけど、声だけでテレビに出てる時とかも分かるんですよ。あ、今のCM松本さんのだな、とか。あ、この番組松本さん出てるんだな、とか」

「わっ、嬉しいなぁ。……ありがとうございます」

楽しそうに話す二人を見て安心すると同時に、一つだけ、ちゃんと相葉さんに伝えておかなければならないことがあるのを忘れていることに気づく。

「あのね、相葉さん」

「ん？」

「潤くんに、伝えたから。……俺たちのこと」

「……え？」

「勝手にごめん。…でも、きっとこれから、俺の職業柄すぐに駆けつけたりできない時もある。なるべくそうならないようにするけど、でも不安にさせることもあるかもしれない」

「……うん」

「だからね、少しでも、力になってくれる人がいたらいいなって、思ったの。……潤くん、俺たちのこと理解してくれてるし、力になりたいから紹介してほしいって、言ってくれたのは潤くんなんだ」

安心させるように、その手を握ってあげると、キュッと握り返してくる。

「だから、もし俺や翔くんに連絡がつかなかった時は、潤くんにも連絡してもいい。俺だけじゃどうにもならないことがあったら、潤くんに協力してもらうこともあるかもしれない」

不安そうな顔をする相葉さんの手を、今度は潤くんが反対側からそっと握った。