月夜に、恋。＊２ (ページ13)

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.N side

真っ直ぐに、その瞳を見て伝えた想い。

潤くんは、ゆっくりとその瞳を伏せると。

「…正直、俺には分からない。ニノの立場を考えれば、ものすごくリスキーなことでもあると思うし」

「うん」

「賛成か反対か、……と言われれば。……反対、なんだと思う」

「……うん」

「でも、………あの人のことをちゃんと知らないままで、そんな無責任なこと言えないな、とも思う」

ふわりと笑った潤くんが、コーヒーをまた一口含む。

「ニノが惚れた人だもん。…きっと、相当いい人なんだろうな、ってことは想像つくよ」

「え…？」

「だって、ニノはちょっと性格ねじ曲がってるし」

「おい」

咄嗟に突っ込むと、可笑しそうに笑う潤くん。

「だから。……賛成も反対もしないよ。……ニノが決めたことなら、俺は応援する」

「潤くん……、」

「その代わり！ちゃんと仕事は集中して取り組むこと」

「はい」

反射的に背筋を伸ばすと、ビシッ、と人差し指をこちらに向けられて。

「それから。……決めたからには、あの人のこと、ちゃんと守ること。泣かせるなよ？」

「はい！」

「あとは……、」

そう言って、何か企んだような顔をする潤くん。

「え、……なに、」

「紹介して？」

「は、」

「あの人のこと、…俺にもちゃんと紹介して」

「えっと、」

すると、今度は真剣な顔で言葉を続ける潤くん。

「……俺たちの仕事は、すぐに抜けたり、すぐに休んだりできない。世間の目だって常に向けられてる。きっと、相手にだってそれなりにストレスを与えることもこれから増えるだろ」

「……そうだね」

「ニノはきっと守り抜けるだろうと思うけどさ。……それでも、味方は少しでも多い方が、ニノも相手も、安心だと思うよ？」

窺うようにしてその顔を見ると、真剣そのもので。

からかおうとか、そんな気持ちは一切ないと分かる。

長年一緒にいれば、そういう奥底にある気持ちだって何となく読み取れるものだ。

「……ありがとう。めちゃくちゃ心強いよ」

「当たり前だろ？……俺だって一応、ニノのこと大事に思ってんだよ」

「ふふ、ありがとう。ちょっと恥ずかしいけど」

「や、やめろよ。そう言われるとこっちも恥ずかしくなる……」

頼りになる友人を持ってよかった。

恥ずかしそうにはにかむ目の前の濃いめの彼を見て、俺は心の中でもう一度感謝を伝えた。