私と彼 3【宮侑】

Tシャツと彼 2 ページ33

誰かに頬をつつかれている。

一体誰だ、人が寝ている時に起こすとは。

瞼を開けると、座りながら私の頬を

つついている侑がいた。





｢あっ！.......つむさん｣

｢おはようさん｣





ニコニコしながら手をヒラヒラと振っている。

まずい、侑のTシャツを着たまま寝ていた。

引いただろうか？

身体を起こしてなんとなく正座になる。





｢あの...おかえりなさい｣

｢ただいま｣





やっちまったあああああああ

あかんわ顔見れない。

俯くとまではいかないが、侑と顔を合わせられない





｢いつ帰ったんですか｣

｢さっきやな｣

｢お、お疲れ様です...｣

｢ふっふ、どーも｣





耳元に手が伸びてきて、髪を耳にかけられる。

少し驚いて身体が強ばっていった。

そのまま耳たぶをいじられて、頬に手が伸びてきた





｢なんでこっち見んのや｣

｢さ、さぁ？｣

｢なんかやましいことでもあるんかなぁ？｣





顔を除き込まれて、後ろに身を引く。

何を考えているのか分からないその笑みに

顔が引きつった。





｢や、やましいことなんか！滅相もない！｣

｢じゃあ、こっち見て｣





頬に触れている手が無理やり

私の顔が侑に向けられた。





｢なんでそれ着てるん｣





両手で顔を包まれて、顔を背けることが

出来なくなってしまった。





｢ほら、自分がやったこと吐け｣

｢私はやってません刑事さん｣

｢ネタがあがってんのやぞー｣





少しふざけ合って、2人で笑いあった。

さっきまでの私の緊張はどこかへ行った。





｢ほんまになぁ、こっちの気持ち考えてみ。
帰ってきたら人のTシャツ着て寝てるんやで｣

｢侑が私のTシャツ着て寝てるみたいな？｣

｢考えたくないけどそんな感じや｣

｢ふふ、パツパツやん｣

｢当たり前やろサイズちゃうねん｣





想像すればそれは爆笑ものだ。

本当に着てみれば、丈はきっと侑のお腹ぐらいだ。

想像で笑っていると、ぐにぐにと

頬を弄ばれ今度は手を握られた。





｢ほんま可愛ええことするなあ｣

｢引かれたかと思った｣

｢まさか｣





まあ、驚いたけど。

笑いながらそういう彼は、思い出し笑いをしている





｢ねえ、このTシャツ｣

｢ん？｣

｢動きやすいから貰いたい｣

｢今の時期やと寒ない？｣

｢ええんやって。ね、だめ？｣

｢おー、ええよ｣





本心半分、下心半分。




・

・

・




｢１回だけでええから、私のTシャツ着てみて｣

｢よし、着たるわ｣

｢えっ｣

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